業種別の調査ポイント(その5)~卸売業~

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2017年7月5日

業種の特殊性(売上‐仕入-棚卸 の関係性が明確)

卸売業・小売業は外部より仕入れた棚卸資産を加工することなくそのまま販売するので、「仕入」、「売上」及び「棚卸資産」の関係性が比較的、明確だといえます。

換言すれば、仮に「売上除外」や「架空仕入」あるいは「棚卸除外」などの操作が加えられれば、それにより生じる歪みが露見し易いといえます。

例えば、調査官が月次の係数分析を行うことにより、その操作が行われたシグナルを把握することが、比較的容易にできます。

税務調査の観点から見た卸売業・小売業の特徴はここにあるといえます。

法人税の申告書に添付が義務付けられている「法人税事業概況説明書」には月次の「売上」、「仕入」を記載することとなっていますので、調査官は、調査着手前の事前準備の段階で月次の係数分析が可能となります。

分析する係数としては、「原価率」、「推計在庫」などがあげられます。

  • 「原価率」

裏を返せば「粗利率」となる「原価率」ですが、「売上除外」、「架空仕入」が行われれば、それが行われた月の原価率が高くなります。

  • 「推計在庫」

推計在庫は、各月末の在庫有高を推計により算定するものです。推計在庫は、「法人税事業概況説明書」に記載のある各月の売上と仕入高、そして決算書(PL及びBS)の数字を活用して以下のように算定します。

 ・ 期首月の月末在庫:(期首在庫+当月仕入高)-当月売上高×原価率※

 ・ 2ヶ月目以降の各月末在庫:(前月末在庫+当月仕入高)-当月売上高×原価率※

   ※原価率:(期首在庫+期中仕入高-期末在庫)÷当期売上高

「売上除外」、「架空仕入」が行われれば、その年度のトータルの原価率が上昇するとともに、それが行われた月の推計在庫が増加し、その前月の推計在庫は逆に減少します。したがって、不正月の推計在庫の増加が顕著に現れます。「棚卸除外」の場合は、トータルの原価率が上昇し、また、期末棚卸の有高そのものが少なくなるので、それぞれの前年対比によりそのシグナルを確認することができます。

具体的な計算は「準備調査(その2) ~「推計在庫」という手法~」をご参照ください。

 

税務調査における否認事例

  • 売上除外、架空・水増し仕入、棚卸除外
  • 期末の帳端(ちょうは)売上の計上漏れ
  • 配送中の商品の棚卸計上漏れ
  • 債務保証の付された金銭債権につき貸倒損失を計上

 

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