業種別の調査ポイント(その2)~製造業~
業種別 税務調査のポイント(その2)~製造業~
税務的な特徴
税務上の観点で見た「製造業」の特徴及び着眼点について、およそ次のような事項が挙げられます。
- 売上原価の計算が製造原価計算により行われる。すなわち、棚卸資産の評価が製造原価計算に基づいて算定される。
→ 売上に対応する費用(原価)と期間費用(販管費)の区分、
棚卸資産(完成品・半製品・仕掛品・原材料等)の評価の適否や除外の有無
副産物・作業くずの処理 - 製造現場となる工場や作業場があり、また製造用の機械設備などを有している
→ 固定資産の取得価額・減価償却費の適否
修繕費と資本的支出の区分
簿外資産(主に固定資産)の有無
設備投資に関する特別償却や税額控除の適否 - 研究開発のための支出がある
→ 税務上の処理の適否(一律に費用処理する企業会計と必ずしも一致しない)
外部委託した研究費の損金算入時期の適否
試験研究費に係る税額控除の処理の適否 - 販売店に対して販売奨励金等のインセンティブを与えるケースがある
→ 売上割戻しの計上時期
交際費等の該当性
費用に関する損金算入時期について
税務上、損金の額に算入すべき費用には、(1)売上原価、(2)販売費及び一般管理費、(3)その他の損失がありますが、(1)は費用収益対応の原則の観点から、(2)は期間費用として債務確定主義の観点から、(3)は発生時主義の観点から損金算入時期を判定します。
(1) 売上原価
→ 製造原価が該当し、確定した売上に対応する費用が損金算入となる。当期売上に対応しない費用は棚卸資産(完成品・半製品・仕掛品・原材料等)として資産に振替える
(2) 販売費および一般管理費
→ 当期中に債務が確定している費用が損金算入となる。減価償却費は内部取引であるため債務確定基準は適用されない。
(3) その他損失
→ その損失の発生年度の損金の額に算入。ただし保険が付保されている損失については損金算入年度を保険金収入の計上年度と一致させなければならない
税務調査による否認事例
・ 外注先や販売店に預けた在庫の棚卸計上漏れ
・ 売上に対応する費用を販売費および一般管理費として期間費用として処理
・ 副産物・作業くずに係る売却収入の除外
・ 工場内に設置した自動販売機等の設置料収入の除外
・ 債務が確定していない売上割戻しを当期の損金の額に算入していた
・ 交際費等に該当する支出を売上割戻しとして処理していた
・ 工場や機械設備等に対する資本的支出を修繕費として処理していた
・ 指揮命令に服して作業をする作業員への報酬を「給与」ではなく「外注費」として処理していた
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