税務調査で指摘される主な否認項目(その3)~売上・仕入・棚卸資産(不正計算)~

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2017年6月18日

税務調査で見つかる不正計算のパターンは大きく2つの類型に分けることができます。

  1. 簿外資産」をつくり出す不正パターン 例)売上除外・架空仕入れ・架空外注費
  2. 利益調整」を行うための不正パターン

これら不正計算は、税務調査で発覚すると重加算税、延滞税(除算期間なし)といった厳しいペナルティが課されることとなります。

【関連記事】 ⇒ 「重加算税」とは

1 「簿外資産」をつくり出す不正パターン

以下の方法により簿外資産をつくり出すもので、不正計算の典型的なパターンです。

  • 売上除外
  • 架空仕入れ・架空外注費など(通常キックバックが伴う)

目的
→ 税負担の回避(脱税)、簿外資金の捻出、私財の蓄積、会社資金の私的流用

売上除外は、特に小売業や飲食業など現金商売で多く見られる不正行為です。

架空仕入れ架空外注費は、仕入先や外注先(下請け業者)と通謀し、架空の請求書を作成させ、水増しした仕入代金や外注費をいったん支払い、そのうえでその一部(または全部)を返還(=キックバック)させるパターンが多い不正行為です。

【関連記事】 ⇒ キックバックを想定した調査(建設業)~準備調査から反面調査まで

調査官はこの手の典型的な不正行為に対して十分な調査ノウハウを持っており、反面調査や銀行調査を実施することにより、いとも簡単に見抜くことができると考えるべきです。

 

2 「利益調整」を行うための不正パターン

以下の方法により利益調整を行う不正計算です。

  • 棚卸除外
  • 意図的な売上の繰延べ・意図的な費用の先上げ(さきあげ)

目的
→ 所得金額を減らし、納税を先送りするもの

棚卸除外は、得意先や下請け先を巻き込まない自己完結的な不正行為で、もっとも単純な利益操作の手法であることから、よく利用される不正のパターンといえます。
多額の棚卸除外は、棚卸商品の入出庫(特に期末及び翌期首の出入り:下記【参考】参照)を追いかけることにより数的な矛盾が浮き彫りになり、足がつくこととなります。

意図的な売上の繰延べ、意図的な費用の先上げは、取引先と通謀して請求書や納品書の日付を改ざんすることにより行われます。

 

【参考】~調査官が棚卸資産の計上の適否を確認する方法~ 

調査官が棚卸資産の計上漏れがないかどうかを確認するシンプルなアプローチとして、期末前後の在庫の入出庫を確認する作業があります。

 ○ 仕入からのアプローチ
期末近くに仕入れた在庫が期末に計上されているかどうかを確認し、計上されていなければ期末近くの売上との対応関係を確認する作業です。いずれも確認できなければ、売上か棚卸資産の計上漏れ(あるいは恣意的な除外)が想定されます。

(例)
 3月31日決算の会社が3月30日に100万円の仕入を計上している。
 → 期末(3月31日)の在庫にその100万円が計上されているか?
 → 在庫に計上されていない場合、3月31日までに売上げられているか?
 → いずれも確認できなければ、売上又は棚卸資産の計上漏れ・除外が想定される

 ○ 売上からのアプローチ
翌期首の売上と期末在庫との対応関係を確認します。翌期首の売上げが期末在庫に適正に計上されているかどうかを確認し、計上されていなければ、翌期首において仕入れた商品を販売したものでない限り、棚卸資産の計上漏れ(あるいは恣意的な除外)が想定されることとなります。

(例)
 3月31日決算の会社が4月1日に100万円の売上を計上している。
 → 期末(3月31日)の在庫にその売上に対応する在庫が含まれているか?
 → 在庫に計上されていない場合、4月1日に対応する仕入が計上されているか?
 → いずれも確認できなければ、棚卸資産の計上漏れ・除外が想定される

新日本法規出版「業種別 税務調査のポイント・国税調査官の視点とアドバイス(渡邊崇甫著)」より

 

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【関連記事】⇒ 税務調査の種類

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