税務調査への対応(その5)~調査開始後の対応~
事前通知があり、調査担当者と日程調整をして、調査対応のために準備を終えるといよいよ調査が始まります。
税務署の一般調査であれば、担当の調査官が1人または2人、規模の大きな会社においては3人程度会社に訪れます。
調査の流れとそれに対する応対のポイントはおよそ以下の通りです。
(1) 顔合わせ、挨拶、雑談
だいたい午前10時ころに調査官が会社に訪れるのが一般的です。
まずはお互い初対面ですので、挨拶、名刺交換(調査官によっては質問検査証の提示のみの場合もあります。)をします。
そして、調査官からか税理士からかあるいは社長(納税者)からか、他愛もない雑談が始まり、雑談を交えながらお互いに双方の距離感を埋めていく雰囲気を作り上げようとします。
調査が始まり相手の顔を見るまでは、どんな調査官がくるか・・・不安なものです。
それは調査官も同じです。どんな社長なのか、調査に協力的だろうか・・と。
この他愛もない雑談を穏やかに交わすこと自体が、双方に安心感をもたらします。
(2) 事業概況のヒアリング
ひととおり挨拶、雑談が終わると、事業概況のヒアリングが始まります。
業務内容、得意先、仕入・外注先、社長と会社との貸借関係・・・などなど一般的な質問のほか、準備調査の段階で要確認事項として挙げたポイントについてもヒアリングを行います。
「最終期の原価率が高いのはなぜですか?」「棚卸計上額が減少していますがなぜですか?」・・・などなど。
調査官にわかりやすく説明してあげてください。
中には理解のおそい調査官や業界のことを理解していない若い調査官もいますが、相手を理解させることが調査を前に進ませることにつながりますので、疑問点をどんどん解消させるつもりで対応するのがよいでしょう。
(1)、(2)を通して言えることですが、ごくたまに態度が悪い(上から目線や横柄な物言いなど)調査官がいるのは事実です。
そういう調査官に対して本人に直接的に抗議するのはあまり得策ではありません。
感情的にやり合うとその後の調査にプラスに作用しません。
下手をすれば調査非協力とのレッテルを貼られるリスクすらあります。
とりあえずは当たり障りのない対応を取り、初日の調査終了後に税理士を通じてその調査官の上司に現場でのあり様を伝え、是正を求めるのがスマートなやり方だと考えられます。
(3) 帳簿調査
午前中の事業概況のヒアリングが終わると、いよいよ午後あたりから「帳簿調査」が始まります。
2日目、3日目と「帳簿調査」が続きます。
【関連記事】 ⇒ 税務調査の実態(その2)~帳簿調査~
元帳や請求書、領収書などを照合しながら個別の取引内容についての質問がなされます。
これら個別取引についての質問に答え、説明し、ひとつひとつ調査官の疑問を解明していくことでやがて調査は終わります。
【関連記事】 ⇒ 「否認に関係のない資料」の提出は必要か?
ただ、なんの問題もなく終わる調査は稀で、調査官からなにがしかの指摘がなされる事案がほとんどです。
ただ、調査官が問題ありと指摘する取引や処理について、税理士に間に立ってもらいきちんと説明することにより納得を得られるケースもあります。
調査が進んで行くにつれ、「反面調査」や「銀行調査」と展開していく事案もたくさんあります。
取引先に「反面調査」に行かれることもあります。
【関連記事】 ⇒ 税務調査の実態(その4)~反面調査~
「反面調査」により取引先から苦情が来ることも実際問題としてあるでしょう。
「反面調査」は調査先の帳簿調査や説明では十分に納得できない不審な取引に対してなされるのが一般的です。
したがって、「反面調査」をなるべくさせないためには、調査官が納得するような資料の提出と取引内容の説明を十分に果たすことに尽きます。
「銀行調査」もしかりです。
調査官が確認したいお金の流れについて預金通帳を開示し、明らかにすることで「銀行調査」の実施を回避することも可能です。
帳簿の作成や関係書類の保存が不十分で「推計課税」に発展する事案では、税理士とよく相談し、合理的な所得の算定についての対案、例えば財産法(BSアプローチ)により算定した所得金額を調査官に示すなど、本来あるべき課税関係より過大な課税を回避するための主張を尽くす必要があります。
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- 税務調査への対応(その1)~税務調査に精通した税理士の立会い~
- 税務調査への対応(その2)~事前通知と日程調整~
- 税務調査への対応(その3)~事前通知から調査開始までの準備・対応~
- 税務調査への対応(その4)~事前通知のない突然の調査への対応~
- 税務調査への対応(その6)~ポイント~
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国税の職員として税務調査に長年従事し、「税務署」だけではなく「国税局」の調査担当部局において高度な税務調査を行ってきた我々OB税理士チームは、税務調査のあらゆるパターンを経験しているため、個別の事案の特性を素早く理解し、国税当局に対する的確な対応が可能です。
【関連記事】⇒ 税務調査の種類
調査官が指摘する問題点について、正確な事実関係を一から洗い出し、その事実を基に理論(法)的な武装をすることにより国税当局との交渉が可能になります。
税務調査の立会いに専門性が求められるのは、国税当局に対し事案に応じた主張すべきポイントを的確に見出し、妥協せずしっかり主張しなければならないからです。
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