税務署は世の中で発生した様々な取引情報をシステマティック(systematic)に収集し管理しています。
収集されたひとつひとつの取引情報を「資料せん」と呼んでいます。
以前は主に紙ベースで管理していましたが、近年ではデータ化が進み、ほぼすべての取引情報がKSK(国税総合管理システム)という国税組織の内部システムに収納されています。
この「資料せん」を収集する目的は、税務調査に活用するために他なりません。
「資料せん」の取引当事者のうちその情報源となった収集元を「収集先」、もう一方の取引当事者を「活用先」といいます。
「資料せん」は、その「活用先」の課税ファイルにデータや紙のかたちで名寄せされて蓄積されています。
この膨大な「資料せん」を処理する専門の部署も各税務署内に設置されています。
調査官は、「活用先」の税務調査の際にはその「資料せん」の情報を活用しながら、納税者の税務処理の適否を検討することになります。
この「資料せん」として蓄積された情報量は膨大であり、税務署の恐さはこの圧倒的な情報量にあるといえます。
「資料せん」(取引情報)が収集されるケースはおよそ以下のとおりです。
1 法定調書:法律により提出が義務となっている資料
(例)報酬・料金・契約金額及び賞金の支払調書、給与所得の源泉徴収票、海外からの送金/海外への送金など
法定調書の種類(国税庁HPより)
2 税務職員が収集する資料(一般資料)
(例)税務調査で収集する取引情報(調査先が計上した外注費など)
3 税務職員が収集する資料(重要資料)
(例)不正計算の証拠となる取引情報(一般資料の中でも特に重要なもの)
【関連記事】 ⇒ 「重要資料せん」とは?
4 税務職員が収集する資料(探聞情報資料せん)
(例)WEB情報・TV・広告・チラシ・雑誌などから資料化するもの
【関連記事】 ⇒ 「探聞情報資料せん」とは?
5 税務署からの依頼により、納税者が提出する資料せん
(例)外注費や仕入の取引情報
6 外部からの通報(たれこみ)を資料化するもの
(例)脱税情報の密告、横領・脱税の内部告発
【関連記事】 ⇒ 税務署に匿名で密告したいのですが・・・
「活用先」の税務調査が行われる際には、担当調査官はその「活用先」の課税ファイルに蓄積された「資料せん」を活用して税務調査を進めます。
「資料せん」の取引情報がきちんと記帳されているかどうか、金額や時期に間違いはないか・・など
「資料せん」と帳簿の照合作業から、売上除外や経費の水増しなどが発覚することがよくあります。
調査官が会社に訪れる際には、その会社のかなりの取引情報を持っています。
この「資料せん」という資料情報の蓄積量が税務署が恐れられる理由のひとつです。
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【関連記事】⇒ 税務調査の種類
調査官が問題ありとする事案・取引について、正確な事実関係を一から洗い出し、その事実を基に理論(法)的な武装をすることにより国税当局との交渉が可能になります。
税務調査の立会いに専門性が求められるのは、国税当局に対し事案に応じた主張すべきポイントを的確に見出し、妥協せずしっかり主張しなければならないからです。
それは、納税者のためならず国税組織のため(=課税の公平の実現)にもつながることなのです。
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