準備調査(その3) ~「資料せん」の整理分析~
調査官は、税務調査が始まる前に、その調査対象となる会社など(調査先)の下調べを入念に行います。
これを「準備調査」といいますが、この「準備調査」の段階で、かならずその調査先の「資料せん」に目を通し、何かしらの調査のヒントが含まれていないか検討します。
ところで、税務署が恐れられている最大の理由は、その蓄積された圧倒的な情報量にあるといえます。
例えば、以下の情報など、税務署は日々膨大な取引情報を収集しています。
- 事業者の取引情報(仕入、売上、外注費、交際費、その他経費など)
- 給与所得者の収入情報
- 不動産や有価証券の売買情報
- 国外送受金に関する情報
- 銀行の預貯金に関する情報
この税務署が収集・蓄積する取引情報を「資料せん」といいます。
詳しくは → 税務署の「資料せん」とは・・・?
税務署が「資料せん」を収集する目的は、税務調査に役立てるために他なりません。
税務署が日々収集する膨大な「資料せん」は、その取引当事者の課税ファイルに紙やデータなどのかたちで名寄せされます。
そして、その納税者の税務調査が行われる際には、担当調査官はその名寄せされた「資料せん」を活用して税務調査を進めます。
準備調査の段階では、調査対象の会社に関して収集された「資料せん」を分析し、有用と思われる資料せんを抽出・整理します。
そして申告書の数値や内容と照合し、不整合な点がないか確認します。
▼例
「A社からB社に外注費として○○銀行○○支店に100万円支払った」という資料せんがあったとします。
B社に調査に行く調査官は、準備調査の段階で少なくとも以下のことを確認します。
- ○○銀行○○支店がB社の申告書に公表銀行として記載されているか(簿外口座ではないか?)
- 申告書からA社と取引があることが確認できるか(科目明細内訳書の売掛金の内容など)
- 振込がなされた月の売上が100万円を下回ることがないか(事業概況説明書/青色決算報告書の月次の売上高)など
これらの作業で不信感があれば、準備調査の段階でさらにA社との関係を掘り下げて情報収集します。
準備調査の段階で解明できない点については、実際の調査現場において、資料せんと一致する経理がなされ、不整合がないか(すなわち適正に会計処理がなされているか)を確認することとなります。
→ B社の帳簿にA社からの100万円の売上が計上されているか?を確認します。
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- 準備調査(その3) ~「資料せん」の整理分析~(当記事)
- 準備調査(その4) ~ 外観調査・内観調査 ~
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