調査事案の選定(その1)~選定基準~

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2017年5月13日

納税者は、税務署に「確定申告書」を提出することにより、所得金額や納税額が確定します。

受理した税務署の職員は、その「確定申告書」の内容を審査します。

この職員による審査を「処理」といいます。

そして「処理」には次の2つの方法があります。

  1. 「税務調査」を実施し、申告内容(所得金額や納税額の計算)が適正であるかどうか確認するもの ⇒ 実地調査(実調)
  2. 「税務調査」を省略し、書類の審査だけで処理を終えるもの ⇒ 調査省略(省略)

税務署内では、上記1を「実地調査」(略称「実調(じっちょう)」)、上記2を「調査省略」(略称「省略」)と呼んでいます。

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大量に提出される申告書は、「実地調査」(すなわち税務調査)または「調査省略」(書類審査のみ)のいずれかの処理がなされるわけですが、「実地調査」は全体のごく一部(3%~5%程度)で、ほとんどの事案は「調査省略」で済ませています。(注)

(注)税務職員の人員数に限りがあるため、それを最大限に活用しても「実地調査」ができる割合は低くなります。

その数多い申告書の中から「実地調査」する会社や個人事業主などを選ぶ作業を「選定」といいます

「選定」は、税務調査を真に必要とする優先度の高い案件を選ぶ作業にほかなりません。

では、「選定」はどのように行われるのか・・・ということになりますが、「選定」基準はおよそ以下のような要素を加味して進められるのが実態といえます。

上記のような要素を加味して「選定」作業が行われるわけですが、その作業には国税当局に蓄積されたさまざまな情報が適宜利用されます。

具体的には国税当局の情報ネットワークシステムである「KSK」と国税当局に蓄積された膨大な取引情報である「資料せん」の活用です。これらのアイテムの内容については別の項で扱います。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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