税務調査の本質

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2016年8月31日

昨日は、東京で某ビジネス週刊誌の取材を受けました。

マイナンバーの導入により、税務調査のあり方はどのように変わっていくのかなど、テーマは多岐にわたりましたが、結局のところメインテーマは「税務調査」でした。

私は、マイナンバーの導入やIT(情報技術)やOA(オフィスの機械化)の進展はあっても、基本的な税務調査のあり方は変わらないものと考えています。

マイナンバーの導入により、それまで手作業(紙ベース)で行っていた資料情報の名寄せ作業が、マイナンバーを利用したデータ情報による一元管理が可能となり、納税者情報の収集の効率性・正確性・悉皆性は進歩します。

それにより、従来は見つけることができなかった不正や処理誤りの端緒を把握できることになる可能性が高まりますが、それは税務署における情報収集力・分析力の効率の問題であり、税務調査の本質はそれにより変わるものではありません。

また、IT技術が進歩したことにより、「メール調査」の重要性が増すこととなりましたが、事実関係を示す証拠となる資料が紙からデータになっただけで、やはり税務調査の本質が変わるものではありません。

では、税務調査の本質とは、どういうものかというと、「原始資料」の把握に尽きると考えます。

「原始資料」とは偽りのない真の事実関係を示す証拠です。

把握した「原始資料」が示す事実関係が「会計処理」に正確に反映されているかどうかを照合する作業を繰り返すのが税務調査だといえます。

納税者へのヒアリングや各種関係資料の分析、資料情報の活用、反面調査などを総動員して、「原始資料」、すなわち真の事実関係の把握に努めることこそが税務調査であると考えます。

 

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税務調査の立会いに専門性が求められるのは、国税当局に対し事案に応じた主張すべきポイントを的確に見出し、妥協せずしっかり主張しなければならないからです。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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