税務調査の実態(その4)~反面調査~
国税当局(税務署・国税局)には、納税者が適正に納税しているかどうか確認するために「税務調査」をする権限が法律により与えられています。
この「税務調査」をする権限が及ぶ範囲には、税務調査の対象会社(以下「調査会社」といいます。)だけではなく、その調査会社の「取引先」も含まれています。
調査会社の取引先へ調査を行うことを「反面調査」と呼んでいます。
「反面調査」は、調査会社の帳簿調査において把握された取引で不信感が持たれるものについて、その取引先に対して調査を実施することにより、取引内容の実態を解明しようとするものです。
「反面調査」は、売上先、仕入先、下請け業者などの営業上の取引相手だけでなく、銀行や証券会社などの金融機関など、調査会社と取引のあるすべての会社や個人がその対象となります。
反面調査が行われた場合、反面調査先において、およそ以下のことを検証します。
- 実際にその取引があったのか?
- 反面調査先の帳簿に調査会社と整合のある記帳がなされているか?
- 具体的な取引内容はどういうものか?
- 金額は妥当か?
- 反面調査先において、その取引を行なう上で生じた原価が実際に生じているか?
- また、その原価は反面調査先においてどのように記帳されているか?
反面調査を実施することにより真の事実関係・取引関係が明らかとなり、調査会社の不正計算が立証されるわけです。
【反面調査の例】
調査会社A社において、下請業者B社に対して不審な「外注費」が100万円計上されているため、この下請業者B社に反面調査を実施したとします。
この取引が実体のある正しいものであれば、B社においてA社への「売上」100万円の計上がなされているはずです。
B社でその売上計上がされていなければ、調査会社A社の計上した「外注費」が実体のない架空計上という想定が働きます。
ただ、B社の売上除外の可能性もありますので、さらに取引の実体があるかどうかを確認します。
仮に、B社で100万円の売上が計上されていても、やはりその取引が実体のあるものであるかどうかを確認する必要があります。
A社とB社の通謀による帳簿の操作だけの架空の取引かもしれないからです。
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取引の実体があるかどうかを確認するため、その取引に関するB社の原価について調べます。
取引の実体があれば、B社において、それ相応の原価が生じているはずです。
B社のその原価に不信感が持たれれば、さらにその原価の支払先C社に反面調査を実施します。
架空外注費の支払先(B社)のさらにその下の支払先(C社)からキックバックを受けていることもよくある不正パターンなのです。
調査官はそういった不正パターンを熟知しているため、反面調査をしっかり行い、真の取引内容を解明する手立てを講じることとなります。
外注先や仕入先などと上っ面だけ示し合わせて不正計算を行っても、調査官が反面調査を実施し、精査すれば、いとも簡単に架空取引がばれてしまうということを覚えておくべきでしょう。
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