どこまで税務署は調べるのか?取引先や銀行にまで行くのか?

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2020年6月16日

税務調査が始まれば、当然、会社が作成した「帳簿」や保存している「領収書」、「請求書」などの関係書類を調査官に見られますが、それだけでは税務調査は終わりません。

仮に領収書を偽装し、それに基づき架空の経費を計上していたらどうでしょう?

勘のいい調査課が、その領収書を見て「おや?」と不信感を持っても、調査先の会社の帳簿しか見ることができなかったら、その不正計算を不正計算と結論付ける証拠の収集ができません。

そこで、調査官には調査先の会社の取引相手である得意先や仕入れ先、下請業者などに対して取引内容を確認するための調査を行う権限を与えています。

この取引先に対する調査を「反面調査」と呼び、銀行や証券会社などの金融機関に対してもこの反面調査を実施する権限が与えられています。

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したがって、調査官は不審な領収書を見つけた場合、その領収書を発行した会社やお店に行って、当該領収書に関する取引内容を確認することが出来ます。

真実を解明するために反面調査先の帳簿を確認することもあります。

反面調査を実施することにより真の事実関係・取引関係が明らかとなり、調査会社の不正計算が立証されるわけです。

一部の納税者は脱税の動機に負け、不正計算に手を染めます。

巧妙な不正計算を行えば調査官をだまし通せるという構図ができれば、まさにこの国は脱税天国になってしまいます。

それを許さないために調査官には無制限の反面調査権限が与えられています。

これはある意味絶大な権限であり、調査官が本気を出してとことん真実の解明に注力すれば、不正計算はいずれバレるのは自明のことといえます。

税務署に蓄積された膨大な取引情報、調査官に付与された絶大な権限・・・いったん税務調査が始まれば、たいていの不正計算は調査官に指摘され重いペナルティが課されます。

これに対抗する(?)には、日々賢く節税し(NOT脱税)、誠実に納税に取り組むしかありません。

 

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