えっ!「仮装隠ぺい」どこに? 若手調査官の勇み足

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2016年8月11日

「そんな殺生な・・・無茶言うてもろたら困りまっせ!」  

思わず口から出そうになりました。

若い調査官は、ときどき無茶なことを言い出します・・・。(笑)

先日、立会った税務調査で、ちょっとした処理誤りを「重加算税」の対象として指摘してきたのです。

聞くところによると調査3年目の若い調査官です。

「重加算税」は、仮装隠ぺい行為を伴う不正計算により過少申告されていた場合に適用されるペナルティです。

通常の処理誤りについては過少申告加算税が適用されるますが、今回の指摘はどう考えてもこの過少申告加算税が適用されるべきケースでした。

  • 通常の処理誤り:「過少申告加算税」(10%)が適用
  • 仮装隠ぺい行為:「重加算税」(35%)が適用

どういったケースが「仮装隠ぺい行為」に該当するかについては、取扱通達や判例・裁決、課税慣行を斟酌して判断しますが、ほとんどの場合、常識で考えて「仮装隠ぺい」があったかどうかの判断で事足ります。

今回の調査官の指摘は、正直「???」の世界でした。どこに「仮装隠ぺい」が・・・?といった感じですね・・。

【関連記事】 ⇒ 「重加算税」とは

「不正行為を暴いたぞ!」と手柄を立てたいのは分からないでもないですが、あまりに常識からかけ離れた指摘をすると、判断の稚拙さと経験の浅さを自らさらけ出すようなものです。

そんな厚顔な調査官に限って、納税者に対し大きな態度を取ったりします。

老婆心ながら、元調査官として2,3注意しておきました。

今後、彼が無用なトラブルをしょい込まないように・・・

新人調査官のみなさん!調査現場は真剣勝負です。

無責任な発言や、納税者を気遣わない発言は自分のためになりません。

無用なトラブルを招くもとになるだけです。ぜひ気を付けてください!

不正計算を見破る技術を一途に習得し、それを粛々と現場で活用し、納税者には正当な申告をするように丁寧な言葉でしっかり説明してください。

それが一流の調査官だと思います。

 

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【関連記事】⇒ 税務調査の種類

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