おっしゃるとおり、税務調査で、「隠べい又は仮装による不正経理」が指摘された場合、「重加算税」が課されます。
重加算税は、追徴される税額(本税)×35%で計算される加算税の中で最も重いペナルティです。(無申告の場合は40%となります。)
重加算税=追徴される税額(本税)×35%
「個人事業主」や「法人」に税務調査が入った場合、「所得税」や「法人税」の修正申告をすると同時に「消費税」についても修正申告するケースがほとんどです。
ここでは、具体的にどのようなケースに該当すれば「消費税」に「重加算税」がかかるのか? について見ていきたいと思います。
国税庁が公表している「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて」(事務運営指針)にそれが記載されています。
「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて」(事務運営指針)
この「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて」(事務運営指針)を要約すると、「消費税」に「重加算税」がかかるケースの例示(=「隠ぺい又は仮装による不正経理」とみなされるもの)として次のことを挙げています。
1 所得税又は法人税の不正経理に連動して重加算税がかかるケース
所得税又は法人税に「隠べい又は仮装による不正経理」あり、重加算税がかかる場合には、それに連動して発生する消費税の追徴税額についても重加算税がかかります。
▼例
法人の税務調査で1,000万円(税込1,100万円)の架空外注費を計上していたことが発覚した。
(追徴税額の計算)
架空外注費は明らかな隠べい又は仮装による不正経理です。1,000万円の外注費が否認され、法人税の追徴がなされます。
- 法人税の追徴税額 1,000万円×法人税率23.2%=232万円
- 法人税の重加算税 本税232万円×35%=812,000円
それに伴い消費税も100万円の仕入税額控除が否認されます。
- 消費税の追徴税額 100万円
- 消費税の重加算税 100万円×35%=35万円 ← 法人税の重加算税に自動連動
合計追徴税額:232万円+812,000円+100万円+35万円+延滞税(利息)
(都道府県民税・事業税・市町村民税などの地方税は別途追徴されます。)
2 消費税の固有の不正事実により重加算税がかかるケース
所得税又は法人税の所得金額には影響しないけれど、消費税額に影響する不正事実(消費税固有の不正事実)により、消費税が過少申告となった場合は、消費税に重加算税がかかります。この消費税固有の不正事実には、例えば、次のような行為が該当します。
- 課税売上げを免税売上げに仮装する。
- 架空の免税売上げを計上し、同額の架空の課税仕入れを計上する。
- 不課税又は非課税仕入れを課税仕入れに仮装する。
- 非課税売上げを不課税売上げに仮装し、課税売上割合を引き上げる。
- 簡易課税制度の適用を受けている事業者が、資産の譲渡等の相手方、内容等を仮装し、高いみなし仕入率を適用する。
以上のケースに該当すれば「隠ぺい又は仮装による不正経理」とみなされ、重加算税が適用されます。
これらはあくまで国税庁が公表する不正計算の代表例であり、「隠ぺい又は仮装による不正経理」があったかどうかは個々の事例により判断がなされます。
「重加算税」が適用されると「延滞税(利息)」の免除期間の適用を受けることができず、最長で過去7年間の利息を納めることとなり、多額の追徴税金を負担しなければなりません。
参考記事 ⇒ 税務調査が行われた場合の「延滞税」の計算
重加算税は最も重いペナルティです。
それを回避するためには日ごろから適正な帳簿を作成すること、そして税務調査の場面では税務調査に精通した専門税理士のサポートが必要です。
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