税務署は、納税者から提出されたすべての確定申告書について「審査」を実施します。
「審査」とは、簡単にいえば、
- 確定申告書に記載された金額について、明らかな記載誤りや計算間違いがないか、
- 申告内容が、税務署に蓄積された資料情報(資料せん)と照らして妥当なものであるか
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の2点に集約できます。
特に上記②については、税務署独自のノウハウで行われる作業です。
審査の結果、「問題なし」と判断されれば、それで終わりますが、「問題あり」「要確認」と判断されれば、税務調査案件として選定されます。
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選定された案件については、税務署の担当者が、その納税者または顧問税理士に連絡(通常、電話によります)をして、双方の日程を調整し、税務調査が行われます。
お尋ねのケースでは、税務署の担当者が税務調査の日程を調整するためにあなたに連絡していますが、なかなか連絡がつかなくて困惑している状態です。
この状態が続けば、税務署に以下のような悪い印象を与えます。
- 税務調査を回避するために逃げている
- 確定申告書にやましい点がある
- 不正(脱税、租税回避)がなされている
そうなると、担当者を増員して、通常の調査から本格的な調査体制に切り替えることも想定されます。
納税者本人と連絡が取れない以上、取引先や取引銀行に反面調査を実施する形で調査は進んでいくことになります。
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税務署から税務調査の通知があるということは、税務調査事案として選定されたものであり、選定される理由があったということです。
その選定された事案について、税務署が納税者と連絡が取れないことを理由に調査案件から外すことをすれば、それが前例となり税務署からの連絡を無視し続ける納税者が現れます。
税務署は、決して納税者と連絡が取れないことを理由に調査をあきらめることはしません。