国税組織の「審理」機能
税務調査の立会い依頼があった案件で、昨年に着手があったにもかかわらず、いまだ決着に至っていないものがあります。すでに約1年近く経っています。
「事実関係」に関しては争いはないものの、その事実関係に対しての課税関係を定める「法令に関する解釈」につき納税者側(我々のサイド)と税務署側の意見が相違している極めて「審理」的なウエイトが高い事案といえます。
「審理」とは、調査現場における「法令(税法)の解釈」や「事実関係への法令のあてはめ」につき、それが適切であるか検討することをいいます。
「調査」担当者は、現場で確認した事実関係及びそれに対して本来あるべき課税関係がどうであるかについて根拠法令を示して「審理」担当者に説明します。
「審理」担当者は、それが適切かどうかを法令解釈、判例、課税慣行を吟味しながら判断し、調査担当者にフィードバック(課税しても可能か否かの判断を示す)します。
調査担当者は審理担当者のGOサインが出ないと課税することはできません。
「審理」担当部門は「調査」担当者が外部で無理な課税をしていないかをチェックする役目を負っています。「調査」担当者の暴走をけん制する部署といえます。
「審理」担当者は、「調査」担当者から報告を受けた事案の事実関係から以下のことを判断します
- 課税できるか課税できないか、
- 課税するためには何が足りないか、
- 課税ができない原因は何か
「審理」担当を5年、10年と経験すると、いわば「実務家」兼「学者」の域に到達し、「調査」担当者から報告を受けた事実関係を見れば、ほぼ間違いのない課税関係を導き出すことができます。
税務調査の立会いをする上で、最も強力に納税者をサポートできるのは「審理」担当を長年経験したOB税理士といえます。
調査官が調査現場で問題点として指摘する事項について、その指摘の弱点を的確に判断できるからです。
ただ、「審理」担当者もピンからキリまでです。
審理を担当して20年のベテランもいれば、審理担当1年目の新人もいます。
そこで国税組織としては、一定の地域で最も大きい税務署、いわゆる「基幹署」に「審理専門官」という審理分野のベテランスタッフを配置し、周辺の中小規模の税務署の審理面をサポートします。
税務署の審理専門官でも判断に迷うケースでは、国税局の課税部・審理課に判断を仰ぐこととなります。
さらにその国税局でも判断できない困難事案に該当すれば、国税庁の審理担当セクションに事案が回付されます。
冒頭の現在進行中の長期事案は、どうやら国税庁まで上がっている案件のようです。
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