海外FX取引の利益に対する課税

昨年、海外のFX業者に資金を預け、海外口座で約1200万円の利益を上げました。

今年になって、この1200万円の再運用として、半分の約600万円を引続き海外のFX取引で運用し、残りの半分約600万円を国内の口座に移し、国内のFX取引で運用をしています。ところが、コロナの影響があってか、昨年とはターゲット通貨の為替変動が思惑とは逆に動き、海外、国内ともに大きく損失が発生し、残余資金をほとんど使い果たした状況になっています。

このような場合、日本の税金はどのようになりますか?

何か手続きが必要でしょうか?

上記のとおり、昨年の利益が今年の損失で使い果たしている状況ですが税金はかかるのでしょうか?

税金を納めないと差押えとかあるのでしょうか?

日本に住んでいれば、所得税法の規定する「居住者」に該当します。

居住者であれば、国内で生じた所得(税務上の稼ぎ、利益のこと)だけではなく、海外で生じた所得に対しても課税対象(所得税、住民税)となります。すなわち、所得の発生地を問わず、全世界で生じた所得について課税されることになります。

ちなみに、日本に住んでいない「非居住者」は、日本国内で生じた所得があった場合に、その所得についてのみ課税対象(所得税)となります。

あなたが日本に住んでいていれば、居住者に該当するため、昨年海外で生じたFX取引に係る所得1200万円は日本における課税対象となります。

具体的には、FX取引で生じた所得については、「先物取引にかかる雑所得等の金額」として確定申告をして納税する必要があります。分離課税により20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税率が適用されます。

なお、今年生じたFX取引の損失1200万円(海外600万円、国内600万円)を昨年の所得1200万円と相殺させることはできません。

税金を納めないと、税務署の徴収部門に担当が変わり、すぐさま差押えの手続(換価手続)が始まります。

 

【元調査官であるOB税理士の目線・・・】

税務署が、あなたの昨年の海外FX取引の利益1200万円を把握できるかどうかという点については、直接それを把握するのは不可能です。いくら税務署でも、海外のFX事業者にまで情報収集する権限はありません。

ただ、日本へ100万円を超える送金を行う場合、送金に関与した日本の金融機関から税務署に支払調書が提出されることから、あなたが海外口座から国内に送金した600万円については、送金の仕方により税務署に把握される可能性があります。1回に100万円を超える送金があれば、その送金のすべてを税務署は把握していることになります。

税務署としては、この送金情報から海外で何らかの所得が生じていることを想定するため、ここから税務調査に発展する可能性は大いにあると考えるべきでしょう。

また、税務署が海外のFX取引業者からあなたの取引情報を直接吸い上げることは不可能ですが、国税庁を通してその国の税務当局に対し、当該FX取引業者が保有する資料等に関する情報提供要請をすることができます。この場合、日本の国税庁から要請を受けた海外の税務当局がそのFX取引業者に出向いて資料を収集し日本へ送付することとなります。

ただし、情報要請は要請してから結果が来るまで1年近くかかるため、実際の税務調査の現場では、この情報提供要請制度があることをちらつかせながら納税者を説得し、真の取引の実体を自主的に提出させるのが一般的なやり方です。

 

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国税の職員として税務調査に長年従事し、「税務署」だけではなく「国税局」の調査担当部局において高度な税務調査を行ってきた我々OB税理士チームは、税務調査のあらゆるパターンを経験しているため、個別の事案の特性を素早く理解し、国税当局に対する的確な対応が可能です。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
税務調査対策が万全

専門性の高い国税職員経験を
活かした万全な対策。