調査官の権限について考える
この時期(12月)は、税務署の調査がもっとも集中する時期です。
調査官は複数の事案を掛け持ちし、東奔西走・・・まさに目の回るような忙しい時期なのです。
今回は、そんな調査官の「権限」について考えてみたいと思います。
調査官には税務調査を遂行する上で必要な事実関係を確認するための権限がいろいろと付与されています。
反面調査、銀行調査、他官庁への問い合わせ、各種照会文書などです。
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調査官はこれらの権限を駆使し、問題ありとして着眼した取引についての事実関係を解明することとなります
調査官には、民間人には考えられないような権限が与えられています。
現職を退職し民間人となった私は、当時与えられていた様々な権限が無くなり、とてつもない無力感を感じることが(特に退職直後は)よくあったものです。
ところで、納税者が不正計算を行っていた場合、調査官は納税者に対して叱責や説諭する権限はあるでしょうか?
当然のことながらありません。
与えられているのは真の事実関係を解明するための権限だけで、納税者がたとえ不正計算を行っていたとしても、その行為について叱責するのは権限外(筋違い)の行為なのです。
しかし実際には、不正計算を見つけ鬼の首を取ったように納税者を叱責する調査官が多いのが実情です。
これは明らかな越権行為です。完全にNGですね。
調査官の権限は、所得や税金の計算が正確に行われたどうかを確認し、誤っていればそれを是正するだけです。
不正計算(隠ぺい又は仮装による行為)が確認された場合は、粛々と重加算税を課す証拠を収集するだけです。
その過程で事実関係の確認作業がなされますが、その際に正確な事実関係を確認するために不正の動機について問うことは許容範囲といえます。
それにより、BS面の調査につながるからです。
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したがって、「なぜ、そうしたのですか?」という問いかけはOKです。
しかしこれが叱責となり「なぜ、こんなことをしたんだ!」はOUTということになります。そんな権限は調査官に付与されていません。
それが理解できていない調査官は、永久に半人前です。
これは、統括官(調査官のボス)にもキチンと理解してもらいたい重要な基本姿勢です。
私が現職のときに、納税者から不正計算をしたことについて謝られた場合には、「そのことについて私に謝する必要はありません。」という返答をしていたものです。
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