得意先の脱税の手伝い 断ることが困難なことも・・・

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2017年3月31日

得意先から脱税の協力要請があり、金額を水増しした請求書や全く架空の請求書を発行し、それによりいったん受領した資金をキックバックする。

よくあることです。現役の調査官時代には、調査現場でいやというほど見てきました(笑)

これは、不正行為を加担するものに他なりません。

企業コンプライアンス上、大きな問題のある行為と言えます。

ただ、中小企業においては、得意先からの依頼であればなかなか断り切れないことがあるのも事実です。

取引を停止されたら経営困難に陥るほど依存している得意先であれば、なおさらでしょう。

クライアントからそういう相談を受けることがあります。

その場合、まずはきっぱり断ることを進言します。

どうしても断れない場合は、不正資金の入出金を「預り金」勘定により処理します。

そして、その得意先への税務調査が実施され、反面調査としてクライアントのもとへ調査官がやって来た場合は、得意先の指示により架空の請求書を作成したこと、不正資金をキックバックしたことを正直に話すことを確約します。

当然、その場合には調査官に対し、得意先との取引関係が悪化しないよう、特別の配慮を要請します。

仮に不正資金の入金を「売上」として処理すれば、キックバック資金を「架空の外注費」などで処理しなければならなくなります。

その場合、調査官に簡単に「架空の外注費」などを見破られてその経費性が否認されて、「売上」に計上した金額だけが課税されることとなります。

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