その3,000万円はアンダーグランドマネーと呼ばれるもので、それを表に出すには相当な工夫がいるものです。
ご主人は、大手の元請建設会社(ゼネコン)の現場責任者なのでしょう。下請けの選定や発注金額などに大きな影響力を持っており、下請け業者が金銭を渡して自社の便宜を図ってもらっているか、あるいは、ご主人が自ら下請け業者に外注費や仕入代金を水増し発注して、その水増し分を裏でキックバックさせているのでしょう。
いずれにせよ、ご主人が蓄財した3,000万円は勤務先の会社のお金を横領したものにすぎません。不正資金の蓄財です。現場監督が下請け業者からお歳暮を受け取ることを禁止している会社もあるほど、健全な工事施工を行うためには現場監督のその立場を利用した利得は制限されなくてはならないものなのです。
いまだタンス預金で置いてある状態でも、ご主人の不正が税務署に把握される可能性は十分にあります。下請け業者は袖の下で支出した資金やキックバックした資金が架空の原価(外注費や仕入れ)として計上されている可能性が強いため、そこに税務調査が入ればすぐに足がつきます。優秀な調査官にかかれば、ご主人まで資金の流れを解明することも十分あり得ます。
また、その資金3,000万円を証券会社に入金すれば、その入金情報自体が税務署に把握されるでしょう。少なくとも査察の内偵班あたりは情報を逃がさないでしょう。その身元が大手ゼネコンの社員であることもすぐに調べがつきます。その際、担当官はすぐに、「現場監督がキックバック資金を表に出したな・・・」とひらめきます。そして、その情報がすぐに「情報資料せん」としてご主人の勤務先の課税ファイル(税務当局にある納税者ごとの管理資料を綴ったもの)に入ることとなります。「社員○○、○○証券に○年○月○日3,000万円の口座開設あり。資金出処の解明を要する。」と。
不正蓄財が発覚すると、勤務先の会社は雑収入除外として国税当局により追徴課税され、ご主人は懲戒処分を受けて職を失い、退職金ももらえないことになるでしょう。
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