国際税務に対応できない顧問税理士への不信感

自動車部品を製造する会社の経理を担当しています。

当社は、創業者一族が発行済み株式の過半数を保有するいわゆる同族会社ですが、会計処理は極めて厳格に対処しており、交際費や会議費名目などを利用した役員の私的経費の付け込みも一切ありません。

売上や原価、経費についても月次の取締役会に正確な資料を提出するため複数社員のチェックを経る正確な処理を行っているものと自負しておりました。

そんな矢先、先日から国税局(調査部)による税務調査が始まり、書類やデータを整理・提出するため、しばらくごった返しの状況が続きました。

税務調査開始前に開催された、顧問税理士を含めた税務調査対応に関する社内打合せでも「大きな問題の指摘には至らないだろう」と高をくくっていました。

ところがふたを開けてみれば、国内取引は確かに大きな指摘はありませんでしたが、海外取引について全く予期していない指摘が数多くなされました。しかも追徴税額は億を超える金額でした。

主な指摘内容の項目は、海外子会社(シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、韓国)との取引でした。海外子会社への寄附金認定(出向人件費、業務委託費)、タックスヘイブン税制によるみなし課税、子会社への出張旅費(移転価格)です。

また、それとは別に継続中の事項として、移転価格税制に関するドキュメントの提出命令を受けており、指定期限内の提出要請がなされています。海外子会社へのプラント移転、中間部品輸出取引、人的交流関連費などについて、まだまだ移転価格上の大きな問題が残っていると調査担当の方から言われています。

当社は、国際税務について大きなリスクはないかと顧問税理士に折に触れて質問していましたが、そのたびに「上場企業のような大規模会社は、海外取引は要注意だけど、貴社(当社)のような中堅会社の税務調査では、そんなに細かく見られることはない」と言われ、当社も大きな問題意識を持つことなく今までルーチン的に処理を行ってきました。

税務調査官の指摘についても顧問税理士は指摘内容を今一つ理解しきれていないようで、的外れな言動が目立ちました。

今回、以下の点について顧問税理士に対する不信感が露呈しました。

  • 国際税務に関する知識が浅く当社の海外取引の税務リスク分析が正確にできない
  • 調査官の指摘にすぐに首肯し、その指摘内容の適否の検討、反論の姿勢が全くない

このまま税務調査が進行すれば、どれだけの追徴税額が生じるのか不安でなりません。

税務調査の途中ですが、立会い税理士を変更することは可能でしょうか?それが可能であったとしても、国税局の心証は悪くならないか・・それを憂慮しています。

今のタイミングで税理士を変えられない場合でも、今回の税務調査が終了した際には国際税務にきちんと対応できる税理士に変更することを検討しています。

税務調査の途中で立会の税理士を変更することは可能です。どの税理士に立会を依頼するかは専ら納税者の自由意志によるところですので、当然のことながら調査の途中で税理士を替えても法的に何ら問題はありません。国税局(税務署)もそれに異を唱えることもありません。事務的に受け入れます。

なんら国税側の心証を気にすることはありませんし、途中で税理士を替えたことによって意地悪をされることもありません。

手続きは、「税務代理権限証書」という書類を1枚提出するだけです。

ところで、ご質問の内容から見て、貴社には海外子会社が複数あり、少なくとも以下の相互の取引があるようです。

  • 人事交流(出向、出張)
  • 製造ライン導入サポート
  • 製造ノウハウの移転(無形資産取引)
  • 棚卸資産の取引

その他にもイントラグループサービス(IGS:予算、経理、総務、人事、法務などのグループ内ならではのソフトサービス)を子会社に提供していることも想定されます。

そうしますと、今回の税務調査の指摘にあったように、一義的には「移転価格」の問題は常につきまといます。移転価格に関する税務リスクを回避するためには、ドキュメンテーションの整備、プライシングポリシーの策定など、相応の専門的な準備が必要です。

また、移転価格以外にも海外子会社(国外関連者)に対する寄附金、軽課税国に所在する子会社についてはタックスヘイブン税制の問題があるようです。

海外取引においては受注関連工作費(受注謝礼金など)もよく税務調査で問題となる事項です。

ご質問の内容からうかがい知れる貴社の事業展開から察するに、それ相応の国際税務に関するキャリアのある専門家のサポートが必要な段階にすでに到達しているものと思われます。

今回の税務調査のケースにおいては、国税局の立場からしても、国税局の指摘を正確に理解して、それについて適正に是正してくれる税理士の立会を求めていると思います。繰り返しになりますが、国税局の心証を気にする心配は全く不要です。

国際税務は、十分な実務経験や法令の深い理解が求められる分野です。相応のキャリアがないと調査官の指摘の内容の理解さえおぼつかないでしょう。

指摘の内容の適否を検討するには少なくとも調査官以上に国際税務に精通した専門家のサポートが必要です。国際税務を担当する国際税務専門官は税務調査のエキスパートです。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
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