「重加算税」と「過少申告加算税」の課税対象所得が混在する場合の加算税の計算事例

重加算税及び過少申告加算税の計算について質問です。

税務調査が行われたことにより所得金額が500万円増加し、過年度の法人税の修正申告を提出しました。

例えば・・

  • 確定申告時の所得が 600万円
  • 修正申告時の所得が 1,100万円
  • 増えた所得500万円の内、400万円が重加算税対象の所得(不正計算によるもの)で、100万円が過少申告加算税の対象所得(うっかりミスによるもの)

とします。そうすると・・・

  • 確定申告時の法人税は、600万円×15%= 900,000円
  • 修正申告時の法人税は、800万円×15%+ 300万円×23.2%= 1,896,000円
  • 増加する法人税は、996,000円 (1,896,000円-900,000円)

となります。

この場合、増加税額996,000円 に対する重加算税(35%)と過少申告加算税(10%)の適用関係はどうなるのでしょうか?
調査後の所得が800万円を超え、法人税率が2種類(15%・23.2%)適用されるので、加算税がどのように計算されるかわかりません。
 

「過少申告加算税」の対象所得と「重加算税」の対象所得が混在する場合、

  1. 「重加算税」の対象所得がなかったとした場合の税額(C)をいったん計算し、
  2. その税額(C)と修正申告による税額(B)(「過少申告加算税」と「重加算税」の両方の対象所得を加味した税額)との差額(B-C)については重加算税が課され、
  3. 税額(C)と当初申告税額(A)との差額(C-A)について過少申告加算税が課されることとなります。

ご質問のケースでは、次のとおり、まず3つの税額を用意します。

○ 当初申告の税額

  • 当初申告の所得額600万円 → 600万円×15%= 900,000円(A)

○ 修正申告により確定した税額(「過少申告加算税」と「重加算税」の両対象所得を加味した税額)

  • 当初申告の所得額600万円+過少申告対象増加所得100万円+重加算税対象増加所得400万円=1,100万円

  →  これをもとに算出された税額 800万円×15%+300万円×23.2%=1,896,000円(B)

○ 重加算税がなかったとした場合の税額

  • 当初申告の所得額600万円+過少申告対象増加所得100万円=700万円 

  → これをもとに算出された税額 700万円×15%=1,050,000円(C)

以上のA、B、Cの3つの税額をもとに以下のとおり各加算税を算定します。

【重加算税額】 

重加算税:(B-C)×35%=(1,896,000円-1,050,000円)×35%=84万円(注)×35%=294,000円

(注)1万円未満切り捨てとなります。

【過少申告加算税額】

過少申告加算税:(C-A)×10%=(1,050,000円-900,000円)×10%=15,000円

最終的に、重加算税と過少申告加算税を合計したトータルの加算税として、合計294,000+15,000円=309,000円 が賦課されることとなります。

 

参考 重加算税と過少申告加算税が混在する場合の計算方法

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
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