コロナ禍による税務調査の見合わせ

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2020年5月24日

私が現職の調査官時代に、世間の情勢にかんがみて税務調査を見合わせる事態が2回生じました。

ひとつは平成7年1月に発生した阪神淡路大震災、ふたつめは平成23年3月に発生した東日本大震災の際の措置でした。

ひとつめの阪神淡路大震災が発生したとき、私は大阪国税局の所轄下の阪神間にある税務署の法人課税部門に勤務しておりました。1月の地震発生から約半年間、被災者の経済的、精神的負担に配慮し、すべての税務調査の実施を見合わせました。2月からの確定申告の時期が到来し、本来、法人課税部門の担当ではない確定申告会場における納税者への相談対応をしました。というのは、法人課税部門は所轄地域の「法人」(株式会社など)への税務調査を担当しますが、「個人」の納税者の確定申告の相談対応は個人課税部門が担当しており、法人課税部門に所属していた私たちは担当外の業務でしたが、①税務調査見合わせにより本来の従事すべき事務がなくなり暇になったこと、②震災による家財等を滅失した納税者に対する特別な救済法が制定され、それによる還付申告に訪れる納税者が急増したため、個人課税部門の職員の人手だけではそれに対応しきれなくなったことから、当初の事務計画(職員の事務を管理する計画)を変更し、法人課税部門、個人課税部門の垣根を超えて挙署体制で確定申告の現場を回したものでした。

ふたつめの東日本大震災の際は、私は東京国税局の調査部・特別調査官に所属しており、都内の大規模法人の調査を執り行っている真っ最中に震災が発生しました。納税者に対しああだこうだとヒアリングしているときに建物が大きく揺れ、書類は散乱し、とても調査の継続は不能な状態となり、その後は調査収束の方向で調整しました。結局その年(平成23年)は、納税者の負担に配慮し、7月まで新規の税務調査は見合わせることになりました。その間(3月-7月)は、本来業務である税務調査ができなくなったため、税務調査再開時に役立つのための情報の収集のための事務に従事した記憶があります。

東日本大震災の前後にSARSや新型インフルエンザの騒動もありましたが、上記の大震災時のような大規模な税務調査見合わせの措置は特にありませんでした。

今回の未曽有のコロナウイルス禍に対し、税務当局は現状税務調査を見合わせています。私が仮に現職であれば3回目の調査見合わせの経験ということになります。今後、税務当局はどのような配慮をもって税務調査を再開していくか今のところ明らかではありません。私見ですが、7月の人事異動があり8月の盆明けくらいから徐々に税務調査を再開していくような感じではないかと考えています。

この時期、調査担当部門の調査官は、調査再開に備え、調査事案の選定や準備調査を念入りに進めています。納税者の側も調査再開に向けて、大きな追徴課税を食らわないような過去の申告内容について見直しができる絶好の期間かもしれません。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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