消費税の「水平的公平」

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2016年6月4日

先日、安部首相は消費税の増税の時期を2年半延期することを発表しました。

日本の財政事情を考慮すれば、一刻も早く財政収支を改善する手立てを講じる必要がありますが、増税により消費が落ち込み経済が収縮すればデフレ脱却を目指す日本経済にとってマイナスの作用を及ぼします。そのジレンマの中で苦渋の決断がなされました。

その決断についての賛否は様々でしょうが、ここではなぜ消費税の増税が必要とされるかについて、税収を構成する直接税と間接税の比率の観点から考えてみたいと思います。

税金には直接税と間接税があります。

○ 直接税:所得税、法人税、相続税など納税義務者と租税の負担者が一致する税金

○ 間接税:消費税、酒税、たばこ税など納税義務者と租税の負担者が一致しない税金

すなわち、間接税の場合、納税を義務づけられた者がその納めるべき税金を物やサービスの価格に「税金」として上乗せすることにより、実質的には消費者が税金を負担することとなります。

一般的に、直接税は、能力の高い者ほど税の負担能力も高く、より多くの税金を納めるのが公平であるという「垂直的公平」を図るのに優れているといわれています。つまり、所得が高いほど税率を高くする累進課税を適用することにより、税金を負担する者の経済的な負担能力に応じた租税を負担させる仕組みとなっています。所得を稼得すればするほど高い税率が適用されるため、勤労意欲や事業意欲を阻害する要因を含んでいます。

一方、間接税は、同じ所得水準にあり、同じ租税能力のある者については、同じ税額が徴収されるのが公平であるという「水平的公平」を図るのに優れているとされています。つまり、所得に関わらず購買という行為に対して均一に徴収することになるので、所得稼得意欲を阻害しません。投資に対して中立ともいえます。したがって経済成長を促進するためには間接税が優れているといえるのです。

○ 垂直的公平:所得が高い人のほうが税を多く支払うのが公平ということ。

○ 水平的公平:同じ所得の人は同じだけ税を支払うのが公平ということ。

租税構造を表す一つの指標に、税収全体に対する直接税と間接税の割合を示す直間比率というものがあります。一国が経済成長を促進させる政策を掲げた場合、それを実行するためには、前述の理由により直間比率で間接税の割合を一定程度高める必要があります。日本の消費税率は現行8%であり、欧州における20%程度の消費税率と比べいまなお低い水準にあるといえます。一方、日本の法人税の実効税率はアメリカに次ぐ世界2位の高税率です。グローバルスタンダードで考えれば、日本には消費税率をアップさせる余地があるといえます。

このような理由により、日本における経済成長を促進するための租税構造の改革にはさらなる直間比率の見直しが必要とされているわけです。

 

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