国際課税原則の重要キーワード「PE」

渡邊の写真
渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2020年6月10日

国際課税原則とは、「(1)自国の会社や個人が海外で稼いだ所得(内外)」や「(2)外国の会社や海外に居住する個人が自国で稼いだ所得(外内)」に対する各国共通の課税の在り方をいいます。

(1)及び(2)についての世界共通の課税ルール=国際課税原則
  (1)自国の会社や個人が海外で稼いだ所得(内外)
  (2)外国の会社や海外に居住する個人が自国内で稼いだ所得(外内)

そして、この国際課税原則を知るうえで重要なキーワードとなるのが「PE」です。

PEとはPermanent Establishmentを略した言い方であり、日本語では「恒久的施設」と訳されます。事業を行うための一定の場所・拠点(支店、営業所、工場など)がPEに該当します。

上記(2)の外国の会社や海外に居住する個人が自国内で稼いだ所得に対する課税について、それが事業活動(商品や製品の売買、役務の提供)から得られる所得(=事業所得)である場合、自国内に「PE」がなければその国は課税することができません。この「PEなければ課税なし」というのが国際課税原則の最も重要なルールになります。(注)
(注)利子、配当、ロイヤリティなどの収入に係る所得についてはPEがなくても課税対象となります

例えばX国のA社が、Y国のB社に商品を販売した場合、A社のPE(支店や営業所など)がY国になければ、その取引から生じるA社の所得についてY国は課税することはできません。逆にA社のPEがY国にあり、そのPEの活動を通じてB社と商品販売に関する契約を締結した場合、Y国はその取引から生じるA社の所得に対して課税することができます。

このPEですが、主に3つの類型に分類されます。

・ 支店、営業所、工場など(支店PE)
・ 長期建設現場(ゼネコンなど建設業者が対象)(建設PE)
・ 継続的に契約を代行する代理人(代理人PE)

上記の支店PEには従来、「倉庫」は単にモノを管理・保管するためだけの造作物であり、準備的・補助的な機能しかなく経済的な活動の拠点とまではいえないとの認識から基本的にPEに含まれていませんでした。したがって、IT通信販売を手広く行うアマゾンなどのガリバー企業は、日本国内に大規模な「倉庫」を有して我が国の消費者に商品を販売し莫大な所得を稼いでいたにもかかわらず、「倉庫」はPEに該当しないという認識のもと、「PEなければ課税なし」の国際課税原則にのっとり日本の税務署は課税することができませんでした。

国際課税原則
・「PE」なければ課税なし
・「倉庫」は準備的・補助的な機能しかなく基本的に「PE」に該当しない

「倉庫」は「PE」に該当しないという固定的解釈の呪縛から国際課税原則が解き放たれない限り、IT通信販売のガリバー企業に対する商品販売地(国)における課税は困難で、所得の発生地というべき商品購入地域における適切な課税が行われていない状態が生じていました。

そこで、国際課税原則を改正し(OECDの租税委員会が中心となり推進)、「倉庫」とはいえ、その「倉庫」が単なるモノの保管するためだけの準備的・補助的な機能にとどまるものではなく、その所得を獲得する上で本質的な機能を果たしているものである場合はPEとして扱うように「倉庫」に対するPEの概念の変更がなされました。日本の税法も平成30年の改正でその国際課税原則に適合する規定ぶりに「PE」の定義が改正されました。

全国対応・緊急案件対応

神戸を中心に大阪、東京、名古屋に国税OB税理士を配置しています。

地域によっては遠距離移動を伴いますが、全国の税務調査に対応します。

また、調査官が突然、無通知でやってきた場合や既に調査が始まっている場合などの緊急案件にも年中無休で対応しています。とりあえずご一報ください。

税務調査の立会いは
年中無休、土日祝対応
緊急案件OK

渡邊の写真
元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
  • 税務署から税務調査に関する連絡があった
  • 調査官が突然、無通知でやってきた
  • 既に調査が始まっている場合

いますぐご連絡ください

  • 税務署から税務調査に関する連絡があった
  • 調査官が突然、無通知でやってきた
  • 既に調査が始まっている場合

お気軽にお問合せください

元国税の税理士だから
税務調査対策が万全

専門性の高い国税職員経験を
活かした万全な対策。