吉本興業の闇営業に関する3つの問題

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
公開日:2019年7月23日

 吉本興業の闇営業に関する問題が注目されています。闇営業とは、会社を通さずに仕事を引き受けることをいいます。闇営業を行っていたとするタレントのMは100万円の報酬を受け取っていたといいます。

 今回の闇営業については以下の3つの問題があると考えられます。(当初金銭は受け取っていないと虚偽の報告をしていましたが、この件についてはここでは省きます。)

1 吉本興業に対する契約違反

 吉本興業という会社を通さずに直接顧客と取引(「お笑い」という芸能役務の提供)を行っていたのは、吉本興業と締結した契約に違反しているものと考えられます。

2 反社会的な集団に対する役務を提供した道徳上の問題

 闇営業の顧客が振り込め詐欺を行っていた反社会的な集団であり、このような反社会的な集団の忘年会に出演し、金銭を受け取っていたというモラル上の問題(社会的責任の欠如)

3 受け取った報酬(100万円)に関する課税上(税金)の問題

 100万円の報酬はおそらく封筒に入れた現金で受け取ったのではないかと考えられます。一般論ですが、隠れて副業を行う場合、お金の流れを税務署に隠すために現金で報酬のやり取りをするのが一般的です。その相手が反社会的勢力であればなおのこと、もともと違法なお金(確定申告していない、いわば簿外のお金)を使っているわけですから銀行を通した決済はしたくありません。結果、魚心に水心で現金決済されるわけです。

 会社に隠れて得たもので、かつ、現金決済された収入は、申告していないと考えられます。すなわち、無申告の簿外資産ということになります。したがって(そうであれば)、100万円の闇営業に係る報酬を売上に上乗せして修正申告を行う必要があります。

 ちなみに、税金の課税対象となる収入は非課税として税法で規定されている収入以外はすべての収入となります。その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問いません。極端な話、麻薬を打って得た違法な収入であっても課税の対象となります。(本件は、上記のとおり吉本興業との関係上契約違反があったと考えられますが、道徳上の(大きな)問題はあるにせよ反社会的勢力に対して役務を提供したこと、これ自体に対する違法性はないと考えられます。仮に違法な収入であっても納税責任を免れるものではないということです。)

 また、芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金を支払う場合は、報酬額の10%(100万円を超える部分は20%:復興特別所得税は除く)の源泉所得税を天引きして税務署に納める必要があることから、本来、当該詐欺グループは源泉徴収したうえでタレントMに対して報酬を払うべきであり源泉徴収義務違反があったということになります。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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