「逆取得」に該当する企業結合が行われた場合における会計処理について

「逆取得」に該当する企業結合が行われた場合における会計処理について

「逆取得」に該当する吸収合併が行われたとします。その場合、一応、「取得」に該当するのもかかわらず、合併消滅会社(=取得企業)の資産、負債は帳簿価額で合併存続会社へ移転する(結合分離指針84)こととされていますが、合併存続会社の資産、負債は逆に被取得企業として時価に評価換えされるのでしょうか?

個別財務諸表と連結財務諸表に区分して考える必要があります。

企業結合が議決権のある株式の交付により行われる場合は、通常、議決権のある株式を交付する企業が取得企業とされますが、吸収合併の場合など、法律上存続する会社(存続会社)が議決権のある株式を交付するものの、法律上消滅する会社(消滅会社)の株主が合併後、存続会社の議決権総数の過半数を保持または受け取る結果、企業結合会計上、消滅会社が取得企業に該当し、存続会社が被取得企業に該当する場合があります。このような事象は、議決権のある株式を交付した会社と企業結合会計上の取得企業とが一致しないという意味で「逆取得」と呼ばれます。

 例えば、Aを合併存続会社(=被取得企業)、Bを合併消滅会社(=取得企業)とする「逆取得」による吸収合併(企業結合)が行われたとします。

○ 個別財務諸表上の会計処理

 合併法人Aの個別財務諸表では、取得企業B(消滅会社)の資産および負債をBの合併直前の適正な帳簿価額により受入れ計上します(結合分離指針84)。Bの株主資本は、Aへの払込資本として引き継ぎ、評価換算差額は適正な帳簿価額で引き継ぎます(結合分離指針84(1))。
合併前のAの資産および負債、株主資本項目は当然、帳簿価額のままです。

合併後個別財務諸表(BS)=「Aの直前帳簿価額」+「Bの直前帳簿価額」

○ 連結財務諸表上の会計処理
 「逆取得」となる吸収合併が行われた場合における連結財務諸表は、存続会社Aを被取得企業としてパーチェス法(時価評価)を適用します。

合併後連結財務諸表(BS)=「Bの直前帳簿価額」+「Aの合併時時価」(のれんの認識)

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
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