「完全支配関係」法人間よりも「支配関係」法人間における適格要件が厳しいのはなぜ?

組織再編の適格要件について

なぜ、「完全支配関係」法人間よりも「支配関係」法人間における適格組織再編による課税の繰延べのための要件が厳しくなっているのでしょうか。

そもそも、適格組織再編が税務上の取扱いの特例を受ける理由はなぜですか?

組織再編により移転する資産に対する支配の継続性に着目して、企業グループ内の組織再編に資産譲渡損益を繰延べる適格要件を付与しています。

「完全支配関係」内で行われる組織再編はグループ内の資本関係密度が高く、その資本関係のみから移転資産に対する支配の継続性が認められます。

一方、「支配関係」内で行われる組織再編の場合は最大50%近い外部資本が入っているため、移転資産に対する支配の継続性が認められるためにはその他の要件も充足する必要があるということになります。

平成13年度税制改正による組織再編税制導入時における税制調査会の答申の中に、適格要件に対する基本的な考え方が述べられているので以下に引用添付しました。

参考

(税制調査会 平成 13 年度の税制改正に関する答申18頁より)

第二 資産等を移転した法人の課税

一 移転資産の譲渡損益の取扱い

法人が組織再編によりその有する資産を他に移転した場合には、その移転資産の譲渡損益の計上を行うのが原則であるが、組織再編の実態や移転資産に対する支配の継続という点に着目すれば、企業グループ内の組織再編により資産を企業グループ内で移転した場合には、一定の要件の下、移転資産をその帳簿価額のまま引き継ぎ、譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。また、共同で事業を行うために組織再編により資産を移転した場合にも、移転の対価として取得した株式の継続保有等の要件を満たす限り、移転資産に対する支配が継続していると考え、譲渡損益の計上を繰り延べることを考えることができる。なお、いずれの場合にも、移転資産の対価として金銭等の株式以外の資産が交付される場合には、その経済実態は通常の売買取引と異なるところがなく、移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べることは適当でないと考えられる。

1 企業グループ内の組織再編

 組織再編により移転した資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる企業グループ内の組織再編は、(中略)基本的には、完全に一体と考えられる持分割合の極めて高い法人間で行う組織再編とすべきである。ただし、企業グループとして一体的な経営が行われている単位という点を考慮すれば、商法上の親子会社のような関係にある法人間で行う組織再編についてもこの企業グループ内で行う組織再編とみることが考えられる。

2 共同事業を行うための組織再編

 移転資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる共同で事業を行うための組織再編に該当するか否かは、組織再編により一つの法人組織で行うこととした事業が相互に関連性を有するものであること、それぞれの事業の規模が著しく異ならないこと、それぞれの事業に従事していた従業員の相当数が引き継がれることなどにより判定するのが適当である。

(以上 税制調査会 平成 13 年度の税制改正に関する答申18頁より)

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
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