税金を軽減するためたけの目的で取引を行い、その取引自体に事業目的(Business Purpose)がない場合、税務当局は否認します。
お尋ねの件のにつき、具体的な否認根拠法令はないはずです。
ただ、税務職員の判断基準となる法令解釈通達(法人税法基本通達)2-1-23の4で以下のように定めています(↓)。
したがって、下記の通達に該当する取引があった場合、税務職員はその取引(有価証券のクロス取引)から生じた損失を否認します。
(売却及び購入の同時の契約等のある有価証券の取引)
2−1−23の4 同一の有価証券が売却の直後に購入された場合において、その売却先から売却をした有価証券の買戻し又は再購入(証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該証券業者等からの購入又は当該証券業者等に購入の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該購入を含む。)をする同時の契約があるときは、当該売却をした有価証券のうち当該買戻し又は再購入をした部分は、その売却がなかったものとして取り扱う。(平12年課法2−7「二」により追加)
(注)
1 同時の契約がない場合であっても、これらの契約があらかじめ予定されたものであり、かつ、売却価額と購入価額が同一となるよう売買価額が設定されているとき又はこれらの価額が売却の決済日と購入の決済日との間に係る金利調整のみを行った価額となるよう設定されているときは、同時の契約があるものとして取り扱う。
2 本文の適用を受ける取引に伴い支出する委託手数料その他の費用は、当該有価証券の取得価額に含めない。
3 購入の直後に売却が行われた場合の当該購入についても同様に取り扱う。
有価証券のクロス取引については、上記の通達の定めにより売却の直後に買い戻した場合その売却がなかったものとして取り扱われますが、この「売却の直後」の解釈について、たとえば売却の翌日に同一銘柄を買い戻した場合には、当該「直後」に該当しないのではないかとの疑問が生じますが、当局は、有価証券の買戻しが売却翌日であったとしても、それが損出しを目的とした取引ならば、売却を認めることはできないとしています。