調査官はどの勘定科目を調べる?

卸売業を営む資本金500万円の会社の経理をしています。先日から税務調査が始まり、調査1日目の終わりに当社の総勘定元帳を持って帰っていきました。

持ち帰った総勘定元帳を調査官はどのように見ていくのでしょうか。

どの勘定科目に注目するのか、気になります。調査官は、総勘定元帳のどの勘定科目から不審点を洗い出して調査を進めていくのでしょうか

調査官によって税務調査の進め方はさまざまです。

私が調査官だったときは、1年間の決算書のデータを月ごとの数値に(分解)して各勘定科目における月ごとの金額の推移を検証していました。金額の増加や減少が異常なものを抽出し、その取引内容や増減の原因を確認します。

不正経理が行われている勘定科目はその不正経理が行われた月に何らかの不自然なシグナルを残します。それぞれの勘定科目を12ヶ月に分解して横一列に並べることでそれが浮き彫りになります。

また、重点的に見る勘定科目は業種や業態によって変わりますが、少なくとも「売上」や「主要な原価」(外注費、仕入など)、「期末棚卸」については、必ず検討する科目といえます。

「仕入」、「売上」、「棚卸」の3つの勘定科目は、それぞれ密接に関連しています。仕入を計上すれば棚卸が増え、売上を計上すれば棚卸は減ります。期末に仕入れた商品を決算日までに販売していなければ、その商品は期末の棚卸に計上されているはずです。

期末の棚卸に計上されていなければ、架空仕入れ、売上除外、棚卸除外のいずれかが想定されるわけです。このように、特に期末における「仕入」、「売上」、「棚卸」の整合性は、調査官がまず最初に確認する項目といえます。

販売費及び一般管理費においては、「人件費」、「業務委託費」などはよく不正経理に利用される勘定科目ですので必ず見られます。その他「交際費」、「修繕費」なども金額が大きい場合は当然調査の対象となります。

臨時的な損益である「特別損益」についても注視します。臨時的な損失「雑損失」の内容や臨時的な収入「雑収入」の計上漏れはないかなどはチェック項目となります。

また、このような売上や費用といった損益面(損益計算書:PL)だけではなく、調査官は会社の資産や負債の状況である資産・負債面(貸借対照表:BS)からも所得計算の適否を検討します。

例えば、「役員借入金」の増加などは、不正経理でねん出した簿外資産を会社の経理に再び導入したのではないかと調査官は考えます。

このように、勘定科目による調査の優先順位はありますが、いったん調査が始まれば、当然のことながらすべての勘定科目が調査対象となります。順番はともかくすべての勘定科目を調査されると考えるべきでしょう。

勘定科目に応じた税務調査の進め方は一定のパターンがあります。また、そのパターン応じた様々な論点があり、税務調査を受ける側は適時的確な反論と証拠書類の提出が求められます。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

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