国税庁、国税局又は税務署の職員には、質問検査権が認められており、納税者(調査対象者)への直接的な調査はもとより、納税者と取引のある者、金銭の受け払いがある者も調査の対象となりますので、納税者の取引銀行や納税者の家族も調査の範囲に含まれることとなります(国税通則法第74条の2)。
したがって、担当官が調査を遂行する上で必要と考えたのであれば、その裁量により取引銀行に質問検査権を行使し、あなたの家族名義の口座の照会を行ったとしてもそれ自体違法とはいえません。あなたの了解を得ることなく、預金調査を行ったこと及び銀行がこれに応じたこと自体は適法な行為です。
個人情報保護法との関係でいえば、個人情報を扱う業者(本件の場合「取引銀行」)は個人情報を外部に漏らしてはいけませんが、法令(税法含む)により情報の開示を求められた場合はその禁止規定が「適用除外」されますので、銀行が税務職員の質問検査権に基づいて預金者の情報を開示することには違法性は存在しないこととなります。
【参考】国税通則法(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
第七十四条の二 国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の当該職員は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
一 所得税に関する調査 次に掲げる者
イ 所得税法の規定による所得税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者
ロ 省略
ハ イに掲げる者に金銭若しくは物品の給付をする義務があつたと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者