海外子会社株式の売却に関する租税回避について

海外子会社の株式譲渡益に関する租税回避行為について教えて下さい。

内国法人A社は、海外子会社Bの株式(簿価60)を資本関係のないX社に100で売却しようと考えています。
そのまま売却すると多額の譲渡益40が生じ、A社の(日本における)税負担が大きくなります。

一方、A社はまた、海外子会社Cの親会社でもあります。C社の所在する国は法人税率が低率です。

そこで、A社はいったんB株式をC社に60で売却し、次にC社からX社に100で売却したとすれば、日本における譲渡益はゼロに抑えられ、C社に40の利益を移転することができます。

このようなスキームは、租税回避行為とみなされて、税務当局に否認される可能性がありますか。

そのスキームは節税対策として利用できません。

A→C、C→Xのそれぞれの売却価格が短期間で変動することは特別な理由がない限りありえません。
A→Cは親子間における国際取引であるため、日本の税制上、移転価格税制が適用され、第三者間で行われた場合につけられたであろう価格(ALP)によりその取引が行われたものとして税務上扱われます。

すなわち、C→Xの取引が第三者価格(ALP)と認められるところ、税務上、これを参照とした価格がA→Cの取引に適用されるため、所得をCの所在する軽課税国に移転することはできません。
A→C:60、C→X:100でB株を移転したとしても、A→Cの親子間取引は、移転価格税制適用により、同じ資産について第三者間で行われた価格、すなわちC→Xの取引価格を参照に決定されます。
したがって、A→Cの取引価格は税務上、60から100に修正して取り扱われることとなります。

全国対応・緊急案件対応

神戸を中心に大阪、東京、名古屋に国税OB税理士を配置しています。

地域によっては遠距離移動を伴いますが、全国の税務調査に対応します。

また、調査官が突然、無通知でやってきた場合や既に調査が始まっている場合などの緊急案件にも年中無休で対応しています。とりあえずご一報ください。

税務調査の立会いは
年中無休、土日祝対応
緊急案件OK

渡邊の写真
元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
  • 税務署から税務調査に関する連絡があった
  • 調査官が突然、無通知でやってきた
  • 既に調査が始まっている場合

いますぐご連絡ください

  • 税務署から税務調査に関する連絡があった
  • 調査官が突然、無通知でやってきた
  • 既に調査が始まっている場合

お気軽にお問合せください

このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
税務調査対策が万全

専門性の高い国税職員経験を
活かした万全な対策。