ご質問のケースでは、相続人はあなたと妹さんの2人になります。法定相続割合はそれぞれ2分の1ずつです。相続人には遺留分の請求権が認められているので、妹さんにも遺留分として法定相続割合の2分の1、すなわち相続財産の4分の1の請求権が担保されることとなります。
そして、 「遺留分算定の基礎となる財産」とは、被相続人(遺言者)が相続開始時において持っていた財産の価額(相続財産)に、生前贈与した財産の価額を加えて算定します(民法1029)。相続人以外に生前贈与した財産は、原則として相続開始前の1年間にしたものに限って算入します。ただし、相続開始の1年以上前にした贈与であっても、贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したものは、遺留分算定基礎財産に算入されます(民法1030)。なお、法定相続人への贈与は、「特別受益」として相続の前渡し分となりますので、原則として何年前のものであっても遺留分算定基礎財産に算入されます(民法1044、903)。
「遺留分算定の基礎となる財産」=
「相続財産」+「相続開始前1年間にした生前贈与(相続人以外)」+「特別受益(相続人)」
ここでいう「特別受益」とは、例えば、相続人の一人だけが被相続人の生前に特別の利益を受けている場合で、これを考慮しないと不公平になるときは、その特別の利益を遺産の先払いとみなして、いったんそれを相続財産に加算したところで関係各人への分配を確定し、その特別の利益の享受者への分配額からその分を差し引くこととなります。これが、特別受益の制度です。
一般的に「学費」は特別受益になりませんが、相続人間で差がある場合は、特別受益とみなされることがあります。妹さんの私立大学の学費や仕送りが相当額にのぼり、兄は高卒で家計を援助していたような場合、妹さんが受け取った学費・仕送りの金額が遺産の前渡しと考えられるということです。
結論としては、妹さんの遺留分の請求は避けられませんが、その「遺留分算定の基礎となる財産」を妹さんの特別受益も考慮に入れて計算することも可能であると思われます。