相続財産を兄が勝手に持ち出した場合

相続についてです。
父がなくなり、相続人である兄弟3人で遺産を分けることになりました。
しかし、ひとりの兄が勝手に父の銀行預金を引き出し、箪笥(たんす)預金の一部も勝手に持ち出しています。合計金額はざっと500万円です。こういう行為をしたら相続権を失うと聞きました。
実際のところはどうなのでしょうか。
 

まず『相続欠格』については民法第891条に規定があります。

民法 第八百九十一条(相続人の欠格事由)  次に掲げる者は、相続人となることができない。

一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

上記の条文からすれば、お尋ねにありますような兄の行為は、直接的に「相続欠格」に該当する事由にはあたりません。

ただ、相続開始後に兄が引き出した預金や持ち出した箪笥預金は分割対象遺産です。
法律上、当然に共同相続人に分割され、各共同相続人が相続分に応じて権利を承継していますから、兄が持ち出し500万円につき、1人1/3、すなわち、166万円について権利があるわけです。したがって、このお二人の166万円相当額について不当利得返還請求、若しくは不法行為による損害賠償請求の訴えを提起することは可能です。
いずれにせよ、専門家である弁護士にご相談したほうがよいケースだと思われます。

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
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専門性の高い国税職員経験を
活かした万全な対策。