告別式を2回に分けて行った場合の相続税の葬式費用の取扱いについて

被相続人甲の告別式は、甲の死亡時の住所地であるA市と甲の出身地であるB市の2か所で行いました。

A市での告別式は甲の職場や近所の方、B市での告別式はB市に在住する甲の親族、幼なじみや甲が生前お世話になった方にそれぞれ参列していただきました。

A市及びB市での告別式は、いずれも仏式により行いましたが、甲の遺体はA市での告別式の後、火葬されたため、B市での告別式では、遺骨を祭りました。また、納骨はB市での告別式の約1月後に行いました。

この場合、A市及びB市での告別式に要した費用のいずれも相続税法第13条第1項第2号に規定する葬式費用に該当すると解して差し支えないでしょうか?

(告別式の内容について)

○ A市の告別式
A市での告別式は、甲の死亡の2日後、甲の遺影及び遺体を祭り、僧侶による読経とともに、甲の職場や近所の方が焼香等を行う仏式により行い、甲の遺族は参列者から香典を受領するとともに香典返しを行いました。
なお、A市での告別式の後、甲の遺体は火葬されました。
○ B市の告別式
B市での告別式は、A市での告別式の4日後に、甲の遺影及び遺骨を祭り、僧侶による読経とともに、B市に在住する甲の親族、幼なじみ及び甲が生前お世話になった方が焼香等を行う仏式により行いました。
また、B市での告別式においても、参列者から香典を受領するとともに香典返しを行いました。

 A市及びB市の告別式に要した費用は、次のことから、いずれも相続税法第13条第1項第2号に規定する葬式費用に該当すると考えます。

(1)法令の規定等
相続又は遺贈により財産を取得した者が相続税のいわゆる無制限納税義務者(相続税法第1条の3第1号又は第2号の規定に該当する者)である場合、当該相続又は遺贈に係るその者の相続税の課税価格に算入すべき価額は、その者が相続又は遺贈により取得した財産の価額から当該被相続人に係る葬式費用のうちその者が負担の属する金額を控除した金額となります(相法131)。
これは、被相続人に係る葬式費用は相続開始時に現存する被相続人の債務ではありませんが、相続開始(被相続人の死亡)に伴う必然的出費であり、社会通念上も、いわば相続財産そのものが担っている負担ともいえることを考慮し、相続税の無制限納税義務者については、相続財産の課税価格の計算上相続又は遺贈によって取得した財産の価額から、葬式費用を控除することとしたものであるとされています。

(2)葬式費用の範囲

イ 葬式費用に該当するもの

相続税法は、葬式費用の範囲について定めていません。
葬式は、葬儀、葬礼、おとむらいともいい、死者を葬る儀式をいうものとされ、宗教や地域的慣習によりその様式が異なるので何が葬式費用であるかの判定は極めて難しい問題であり、個々の具体例について社会通念に即して判断するほかはないと考えますが、相続税法基本通達13-4は、その判断を行う場合にどこまでを葬式費用と認めるかについてその範囲を示したものであり、葬式費用として控除する金額は、

1 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)、

2 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用、

3 1又は2に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの及び

4 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬

に要した費用とされています(相基通13-4)。   

 なお、一般的な仏式の葬式は、1遺体の安置、2死亡届の提出、3弔問客の応対、4遺体の処置、5僧侶が戒名をつける、6納棺、7通夜、8葬儀、9告別式(僧の読経、弔辞、焼香)、10出棺・会葬・お礼等の方法手順により行われます。

ロ 葬式費用に該当しないもの

 これに対し、1香典返戻費用、2墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料、3法会に要する費用及び4医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用は、葬式費用として取り扱わないとされています(相基通13-5)。

 なお、法会とは、法事ともいい、初七日、四十九日、1周忌などがあり、死者を葬る儀式である葬式と異なり、死者の追善供養のため営まれるものです。

(3)ご質問ケースの場合

A市及びB市の告別式に要した費用は、次のことから、いずれも相続税法第13条第1項第2号に規定する葬式費用に該当すると考えます。

イ A市での告別式は、遺影及び遺体を祭り、僧侶による読経とともに、甲の職場や近所の方が焼香等を行う仏式により行われたものであり、死者を葬るために行われた儀式です。
したがって、A市の告別式に要した費用は、相続税法基本通達13-4に掲げられた費用(葬式に際し要した費用)に該当すること。

ロ B市での告別式は、A市のみで告別式を行うとB市の知人等が告別式に参列することが困難となることから、参列者の便宜等を考慮し、遺族の意思によりA市での告別式の後、別途執り行ったものですが、納骨前に行ったものであり、その内容も遺影及び遺骨を祭り、僧侶による読経とともに、参列者が焼香等を行う仏式により行われたものでA市での告別式と同様であることから、死者の追善供養のため営まれる法会(法事)ではなく、死者を葬るために行われた儀式であると考えられます。
したがって、B市の告別式に要した費用も、相続税法基本通達13-4に掲げられた費用(葬式に際し要した費用)に該当すると考えられること。

国税庁HP 文書回答事例 参照

 

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
税務調査対策が万全

専門性の高い国税職員経験を
活かした万全な対策。