会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税(以下「源泉所得税等」といいます。)を差し引くことになっています。
そして、差し引いた源泉所得税等は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
この源泉所得税等を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
仮に源泉徴収義務者が源泉徴収義務を怠り、源泉所得税等を差し引かずに給与等を支給してしまった場合、本来税務署に納めるべき源泉所得税等が直接従業員等に支給されてしまったことになりますが、この場合においても源泉徴収義務は消えず、本来税務署に納めるべき源泉所得税を税務署に納めなければならないことになります。その上で、従業員等にその本来差し引くべきであった源泉所得税等の返還を求めることとなります。
例えば、源泉徴収をしていなかった従業員が自分で確定申告をして年間の所得税等を計算し納付した場合においても、会社の源泉徴収義務は消えません。この場合、本来税務署に納めるべきであった源泉所得税等を税務署に納め、それを基に源泉徴収票をその従業員に交付し、その従業員が税務署に対し「更正の請求」による還付請求を行ない、それにより還付された所得税等を会社に返還することとなります。
ただ、このようにいったん従業員が確定申告をすることにより年間の税額を精算した場合にまで、税務署が源泉徴収義務者に告知処分(源泉所得税等を納めろとういう通知書を送付すること)をするかどうかは担当者の裁量によります。
前置きが長くなりましたが、ご質問の場合、税務署から未納の源泉所得税について納めるように指導がなされ(告知処分)、ペナルティとして不納付加算税(本税の10%)および延滞税(利子)が併せて課されることとなります。源泉徴収をしなかったことにつき、仮装や隠ぺい行為があると認定されると不納付加算税ではなく重加算税(本税の35%」)が課されることとなります。