未払給与に関する所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の源泉徴収義務はありません。あくまで源泉徴収は給与等を実際に支払う際に行います。
給与の一部しか支払わずに残額を未払金としている場合、全額支給した場合に源泉徴収すべき所得税等の金額のうち、実際に支払う給与等の金額に対応する部分の金額を源泉徴収する必要があります。また、未払い部分を代表者借入金として処理する場合、いったん給与の全額を支給し、うち一部を会社が借入れたものとして扱うのが妥当だと考えられますので、この場合、源泉徴収すべき所得税等の全額を納付することとなります。
【参考】国税庁HPより https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2526.htm
給与が一部未払の場合の源泉徴収
役員や使用人に毎月支払われる給与等が、定められた支給日に支払われずに未払となる場合、源泉徴収は給与等を実際に支払う際に行いますので、原則として支払われるまでは源泉徴収は行われないこととなります。
ただし、役員に対する賞与は、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日において支払があったものとみなされ源泉徴収を行います。
給与等の一部を支払い、残額が未払となる場合には、支払うべき給与等の金額に対する所得税のうち、実際に支払う給与等の金額に対応する部分の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する必要があります。
具体的には、まずその月に支払うべき給与等の金額を「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて所得税及び復興特別所得税の額を求めます。
次に、求めた所得税及び復興特別所得税の額に、支払うべき給与等の金額を分母とし、実際に支払った給与等の金額を分子とした割合を掛けます。
このようにして算出した所得税及び復興特別所得税の額が、実際に支払った給与等から源泉徴収する税額です。
また、年末調整を行う際に未払が残っている場合は、その未払となっている給与等の金額も年間の給与等の支払金額の総額に含めるとともに、その未払給与等に対応する所得税及び復興特別所得税の額も年間の所得税及び復興特別所得税の額の総額に含めたところで年末調整を行います。
(所法183、190、復興財確法28、所基通183~193共-1)