日本の企業で製造業の技術職として働いていましたが、5年前に退職しました。
その後、長年の勤務で培ったノウハウを社会に還元しようと考えコンサルタント会社を設立し、数年前からシンガポールの会社の技術的なサポートを行い、コンサルタント料を受け取っています。
シンガポールの会社への具体的なコンサルタントは、以下の2通りの方法で行っています。
① 現地に行って技術的指導を行う
② 電話、メールを利用して、技術的指導や相談ごとへの対応を行う
年に1回程度は渡航して現地にて直接指導を行っていますが(上記①)、通常は、電話またはメールによる対話により(上記②)日常的なサポートを行っています。
この場合におけるコンサルタント料は、消費税の取扱い上、内外判定(国内取引OR国外取引)はどうなりますか?
消費税は、国内で役務の提供される取引については課税対象となりますが、国外において役務が提供される取引は課税の対象外(不課税)となります。
役務の提供がどこで行われたかについては、「一般的な役務の提供」であるか「電子通信利用役務の提供」かによって判定方法が異なります。
- 一般的な役務の提供:
役務の提供が行われた場所(明らかでない場合は、役務提供者の役務提供に係る事務所等の所在地)により判定
(消法4③二、消令6②六、消基通5-7-15)
- 電子通信利用役務の提供
役務の提供を受ける者の住所、本店所在地等により判定
(消法4③三、消基通5-7-15の2)
ここでいう「電子通信利用役務の提供」とは、
- 電気通信回線を介して行われる著作物(著作権法に規定する著作物)の提供
- 電気通信回線を介して行われる役務の提供
を指します。(消法2八の三)
その具体的な例として、以下のような取引が「電子通信利用役務の提供」該当するとされています。(消基通5-8-3)
- インターネットを介した電子書籍の配信
- インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供
- インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供
- インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供
- インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供
- 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング
ご質問のコンサルタント業務は以下の2つの方法によるものということですので、それぞれについて考えていきます。
① 現地に行って技術的指導を行う
② 電話、メールを利用して、技術的指導や相談ごとへの対応を行う
まず①の現地にて行う技術的指導については、「電子通信利用役務の提供」に該当する理由がなく、「一般的な役務の提供」に該当します。そうしますと、その役務提供地は、役務の提供が行われた場所(不明な場合は役務提供者の役務提供に係る事務所の所在地)で判定することとなります。現地(シンガポール)において技術的指導という役務提供がなされたことが明らかでありますので、この場合、役務提供地はシンガポールということとなり、消費税上、国外取引に該当し、課税の対象外(不課税)と判定されます。
次に②の電話、メールによる技術的指導等についてですが、上記「電子通信利用役務の提供」の例示(6)で示した「電話、電子メールによる継続的なコンサルティング」に該当すると考えられます。そうすると、役務提供地の判定は、役務の提供を受ける者の住所、本店所在地等で判定されます。シンガポールの会社が役務の提供を受けていることから、役務提供地はシンガポールとなり、①と同様、消費税の取扱い上、国外取引に該当し、課税の対象外(不課税)と判定されます。
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