交際費として記帳した経費が、「誰と行ったか分からない」ことだけを理由にその経費性(事業関連性)が否認されることはありません。
交際費を必要経費(個人)または損金(法人)に算入するための要件として、「誰と行ったか」について記帳等することを法令で特に定めていないからです。(注)
(注)法人の場合、下記【参考】を参照ください
税務調査においては、特に経費に計上した費用の経費性の問題について、是非はともかくとして、一義的には調査官の心証によるところで判断されるのが実態です。
交際費の経費性の問題については、調査官は以下のことを判断材料として思考するのではないかと考えられます。
- 他の業者などを接待する必要のある「業種」であるか
- 「売上の規模」と比較して交際費の支出額は多すぎないか
- 個別の支出(領収書)に経費性が疑われるもの(個人的な支出など)が含まれていないか
- 白紙領収書などを利用した不正計上はないか(筆跡があやしいものなど)
上記のような観点(調査官の目線)で見た場合に、疑いを持たれる支出が含まれていれば、その経費性の適否について調査官から追及されることになります。
調査官からの質問の中で、「誰と行ったか分からない」ものばかりであれば、心証として、良い印象を与えないのは事実です。
会社の業務遂行上、接待が必要となる関係者、その接待が必要となる理由、誰と行ったかは定かではないが恐らくはこの関係者であろう・・・などを丁寧に説明し、調査官に経費性を納得させる心証を与えることが必要になります。
【参考】法人の交際費等について一定の記録が必要となるケース
法人の場合、交際費等について一定の損金算入限度を設ける制度があります。(租税特別措置法61の4)
その制度の適用上、以下の①及び②の適用を受ける場合には、法令による一定の書類の保存義務等があります。
① 「一人当たり5,000円以下の飲食費」を交際費等から除外する
② 「接待飲食費」×1/2を損金算入限度額とする
(法令による保存すべき書類等)
上記①の場合=次のすべての事項が記載された書類
上記②の場合=次の三以外のすべてを明らかにする書類
一 飲食の年月日
二 飲食に参加した者の氏名及びその関係
三 飲食に参加した者の数
四 飲食費の金額、飲食店等の名称・所在地
五 その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
(租税特別措置法施行規則21の18の4)