カルロス・ゴーン氏の逮捕
日産自動車の業績を奇跡的に回復させたカリスマ経営者のカルロス・ゴーン氏が役員報酬過少記載などの違法行為の疑いにより東京地検特捜部に逮捕されました。
主な逮捕の原因となった事由は次の点があげられます。
(1)有価証券に記載された役員報酬の過少性
報道によるとゴーン氏の役員報酬の一部が有価証券報告書に記載漏れとなっているようです。
- 受け取りを先送りした報酬:80億円
- 株価の上昇に連動して金銭を受け取ることができる権利:40億円
(2)オランダ子会社の資金で海外の不動産を取得
報道によりますと、ゴーン氏は部下の者に指示し、ベンチャー投資目的で設立したオランダの子会社(資本金60憶円)を経由してタックスヘイブンの孫会社へ出資し、ブラジル・リオデジャネイロの高級マンションやレバノン・ベイルートの恒久住宅の購入や改装に資金が廻っていたようです。これらの物件はゴーン氏が無償で自宅同様に使用していた模様です。
法人が取得した不動産を社内の者が社用のため又は福利厚生施設として使用する分には当該不動産の維持費は福利厚生費等の一般経費として会社の費用になります。ただ、特定の役員等が私的に使用している場合は、その不動産を利用する役員等から妥当な家賃を徴するのが原則です。その家賃の徴収がない場合はその家賃相当額の給与の支給があったものとして役員等に対する課税が生じることとなります。
税務上の問題はさておき、60億円もの出資によるオランダ子会社の設立は株主総会や取締役会等の意思決定機関の決議を得て行われるものです。決議を経てなければ企業統治上の問題があるといえ、監査役の責任が問われることが考えられます。決議があった場合、賛成の議決権を行使した者の責任が問われることでしょう。いずれにせよ、一部の役員が会社をほしいままに利用できる体制をチェックする機能が不全の状態にあったといえます。
(3)連結決算対象から海外子会社を除外
会計監査から私的な資金の支出が指摘されることを回避するために、部下に指示してオランダ子会社を連結対象から除外したと疑われています。これが会社に与えた損害を隠ぺいするためになされたものであれば、会社法や金融商品取引法上の違法性が問われることとなります。
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