期末の役員賞与支給による節税について

家族経営の同族法人です。

決算対策として期末の役員賞与を支給しようと考えています。
期末の役員賞与について何らかの税務上の規制があるのでしょうか?

役員への「賞与(=ボーナス)」は、基本的に法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されません。

役員への定期同額の給与(「定期同額給与」)しか損金の額に算入されません。その他、例外的に一定期間内に税務署に届出(事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出)を提出した給与(「事前確定届出給与」)、利益に関する指標を基礎として算定される報酬(「利益連動給与」)も損金算入が認められています。

お尋ねの場合、その期末の役員賞与について事前に税務署に届出を出している「事前確定届出給与」に該当しない限り、損金の額に算入されません。また、「利益連動給与」は(有価証券報告書を開示していない)」非上場会社には適用されないため、これにも該当することはないと考えられます。

 

参考 以下 国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5209.htm より

1 定期同額給与

定期同額給与とは次に掲げる給与です。

(1) その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
(2) 定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又はその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定。ただし、その3か月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの
ロ その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたその役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除きます。)
ハ その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、イ及びロに掲げる改定を除きます。)
(3) 継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの


2 事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給する給与(1の定期同額給与及び3の利益連動給与を除きます。)で、次に掲げる場合に応じてそれぞれ次に定める届出期限までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしているものです。
なお、同族会社以外の法人(注)が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与については、その届出をする必要はありません。
(注)同族会社に該当するかどうかの判定は、その法人が定期給与を支給しない役員の職務につき、その定めをした日(新設法人にあっては設立の日)の現況によります。

(1) 原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次のイ又はロのうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日。)が届出期限です。
イ 株主総会、社員総会又はこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日
ロ その会計期間開始の日から4か月を経過する日
(2) 臨時改定事由により定めをした場合
臨時改定事由によりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合(その役員のその臨時改定事由が生ずる直前の職務について事前確定届出給与に関する定めがある場合を除きます。)は、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。
イ 上記(1)のイ又はロのうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日)
ロ 臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日
(3) 事前確定届出給与に関する定めを変更する場合
既に上記(1)又は(2)の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に掲げる日です。
イ 臨時改定事由
その事由が生じた日から1か月を経過する日
ロ 業績悪化改定事由(給与の額を減額する場合に限ります。)
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日が1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)


3 利益連動給与

同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与)で次の(1)から(3)までの全ての要件を満たすもの(他の業務を執行する役員の全てに対しても次の要件を満たす利益連動給与を支給する場合に限られます。)

(1) その算定方法が、有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
イ 確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
ロ その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに一定の報酬委員会が決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続を経ていること。
ハ その内容が上記ロの決定又は手続終了の日以後遅滞なく有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。
(2) 有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標の数値が確定した後1か月以内に支払われ、又は支払われる見込みであること。
(3) 損金経理をしていること。
(注1) 特殊支配同族会社の業務主宰役員に対して支給する給与については、その給与の額のうち一定額が損金の額に算入されない場合があります。詳細については、コード5207 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入を参照してください。
(注2) 平成18年4月1日から平成19年3月31日までに開始する各事業年度における役員給与の取扱いについてはコード5206 役員に対する給与(平成18年4月1日から平成19年3月31日までの間に開始する事業年度分)を参照してください。
(注3)「役員給与に関するQ&A(平成20年12月)(平成24年4月改訂)(PDF/303KB)」が、国税庁ホームページのその他法令解釈に関する情報に掲載されています。
(法法34、法令69、法規22の3、平19改正法附則32、平19改正法令附則2、12)

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
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活かした万全な対策。