連結納税制度を適用している法人間における資産の譲渡について

連結納税制度を適用している法人間における資産の譲渡について

連結法人間における資産の譲渡は、一種の内部取引とも考えられますが、連結納税制度においては、その譲渡に係る譲渡損益を繰り延べる措置は講じられていますか。また、譲渡損益の繰延べの措置が講じられているとすれば、その繰り延べられた譲渡損益はどのような事由が生じた場合に連結所得の金額に反映させることとなりますか。

連結法人間で『譲渡損益調整資産』を譲渡した場合には、その譲渡をした連結法人において譲渡損益を繰り延べることとなります。

また、その繰り延べた譲渡損益については、例えば、次のような事由が生じた場合に益金の額又は損金の額に算入(戻し入れ)することとなります。
1 その資産を取得した連結法人が連結グループ内の他の連結法人へ譲渡したとき
2 その資産を取得した連結法人が連結グループ外の者へ譲渡したとき
3 その資産を取得した連結法人において償却、評価換え、貸倒れ、除却等を行ったとき
4 その資産を譲渡した連結法人が連結納税の承認を取り消されたとき
5 その資産を取得した連結法人が連結納税の承認を取り消されたとき
6 その資産を取得した連結法人が適格分割型分割をしたことにより、その資産をグループ外の分割承継法人に移転したとき

【解説】

連結法人(S1)が『譲渡損益調整資産』を連結グループ内の他の連結法人(S2)に譲渡したことにより生じた譲渡利益額(又は譲渡損失額)に相当する金額は、連結所得の金額の計算上、損金の額(又は益金の額)に算入することとされています(法81の10(1)、61の13(1))。
この場合の、『譲渡損益調整資産』とは、固定資産、棚卸資産たる土地(土地の上に存する権利を含みます。)、有価証券(売買目的有価証券を除きます。)、金銭債権及び繰延資産でその資産の譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上のものをいいます (法61の13(1)、令122の14(1))。
また、繰り延べた譲渡損益については、例えば、次のような事由が生じた場合には、益金の額又は損金の額に算入することになります(法81の10(2)(4)、61の13(2)(4)、令122の14(3)(12)、155の22(2)(11))。

1 その資産を取得した連結法人(S2)が連結グループ内の他の連結法人(S3)へ譲渡したとき
2 その資産を取得した連結法人(S2)が連結グループ外の者へ譲渡したとき
3 その資産を取得した連結法人(S2)において償却、評価換え、貸倒れ、除却等を行ったとき
4 その資産を譲渡した連結法人(S1)が連結納税の承認を取り消されたとき
5 その資産を取得した連結法人(S2)が連結納税の承認を取り消されたとき
6 その資産を取得した連結法人(S2)が適格分割型分割をしたことにより、その資産をグループ外の分割承継法人に移転したとき

【関係法令】

法61の13(1)(2)(4)、81の10(1)(2)(4)
令122の14(1)(3)(12)、155の22(2)(11)

国税庁 連結納税制度Q&A 参照

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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
税務調査対策が万全

専門性の高い国税職員経験を
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