資本金等が5億円以上の法人等の100%子法人等の法人税法上の取扱い

資本金等が5億円以上の法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について教えてください。

平成22年及び平成23年12月の税制改正により、平成22年4月1日((1)及び(2)については平成24年4月1日)以後に開始する事業年度から、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度(いわゆる中小企業向け特例措置)については、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人等(注1)には適用されなくなりました。

(1) 貸倒引当金の繰入れ

 銀行、保険会社又は金融に関する取引に関する金銭債権を有する法人など、一定の法人を除き貸倒引当金を繰り入れることができなくなりました。なお、この改正に伴い、平成24年4月1日から平成27年3月31日の間に開始する事業年度について一定の経過措置が設けられています。

(2) 欠損金等の控除限度額の縮減の不適用

 青色申告書を提出した事業年度の欠損金及び災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額は、繰越控除をする事業年度の控除前所得の金額の100分の50相当額(注2)となります。

(3) 軽減税率

 普通法人の各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率の適用はなく、一律23.9%(注3)となります。

(4) 特定同族会社の特別税率(留保金課税)の適用

 留保金課税が適用されることとなります。

(5) 貸倒引当金の法定繰入率の選択

 一括評価金銭債権の貸倒引当金の繰入限度額の計算において、法定繰入率の選択は行えず、貸倒実績率により計算することとなります。

(6) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度

 定額控除制度の適用はできず、支出する交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)の額の50%に相当する金額を超える部分の金額が損金不算入となります(注4)。

(7) 欠損金の繰戻しによる還付制度

 解散、事業の全部の譲渡など一定の事実が生じた場合の欠損金を除き、この制度による還付の請求は行えません。

(注1) 100%子法人等とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等(以下、「大法人」といいます。)による完全支配関係(一の者が、法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます。)がある普通法人をいいます。したがって、大法人の100%子法人に限らず、大法人による完全支配関係がある普通法人の全てについて、中小企業向け特例措置の適用はありません。

 なお、平成23年4月1日以後に開始する事業年度(平成23年6月30日前に終了する事業年度を除きます。)からは、完全支配関係がある複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人についても、中小企業向け特例措置の適用はありません。

(注2) 平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度においては100分の80相当額、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度においては100分の65相当額、平成29年4月1日以後に開始する事業年度においては100分の50相当額となります。

(注3) 平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する各事業年度においては30%、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度においては25.5%、平成27年4月1日以後に開始する事業年度においては23.9%の税率となります。

(注4) 平成26年3月31日以前に開始した事業年度においては、支出する交際費等の額の全額が損金不算入となります。

(法法2、52、57、66、67、80、措法42の3の2、57の9、61の4、66の13、平22改正法附則1、10、73、83、85、93、平成23.12改正法附則1、10、13、52、平26改正法附則77、平27改正法附則27)

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
税務調査対策が万全

専門性の高い国税職員経験を
活かした万全な対策。