「法人税の所得金額」は、会計上の「税引後当期利益」を基に所要の税務調整を加えて算出されます。
「法人税の所得金額」=「税引後当期利益」+申告調整
一方、この会計上の「税引後当期利益」は、税引前当期利益から法人税等を控除して算定されるところ、この法人税等は、「法人税の所得金額」を基に税率を掛けて算出されます。
「税引後当期利益」=税引前当期利益-法人税等
法人税等=「法人税の所得金額」×税率
「法人税の所得金額」を求めるためには「税引後当期利益」の値が必要で、逆に「税引後当期利益」は「法人税の所得金額」が確定していないと求められません。
循環関数のようになっているとおもうのですが、実務上どのように対応するのでしょうか?
損益計算書では、税引前利益から「法人税等」を差し引いて「当期利益」を確定させます。その「法人税等」の額を実際の当期の確定申告書に記載される確定税額と一致させようとすると、「当期利益」をもとに法人税及び地方税の申告書で確定させるのでまさに循環関数のようなジレンマに陥ります。
では、どのようなプロセスでこのジレンマを克服するかですが、実は簡単なことで、ポイントはその「法人税等」(=「納税充当金」=「未払法人税等」)の額は全額損金の額に算入されずに別表4で加算されるということです。すなわち、結局は課税所得算定のプロセス(別表4の過程)でいったん税引前利益に戻るということです。これを利用します。
まず別表4の1欄「当期利益」に会計上の税引前利益を転記し、5欄「損金経理をした納税充当金」に0(ゼロ)を入れます。この時点で別表4の1欄「当期利益」の本来あるべき金額に5欄「損金経理をした納税充当金」の本来あるべき金額を加算した額と同額になります。他の加算減算をきちんと申告調整に反映すれば、課税所得が導き出され、別表1で税額が確定されることとなり、それにより地方税も確定します。
そうして確定した申告額〇〇をもって、(借方)法人税等〇〇/(貸方)未払法人税等〇〇として処理することとなります。