法人税の金額が利益と比較して少ない場合、主に3つの理由が考えられます。
1 法人税法上でいう損金算入、益金不算入による課税所得の減額
実は法人税率は会社の「利益」に税率をかけて算定されるのではありません。会社の利益に法人税法特有の加減算をし、それによって算定された「課税所得」に税率を掛けます。
具体的には
イ 会計上は「収益」なのに法人税法上では「収益(益金)」とならないもの。「益金不算入」として減算されます。
例:受取配当の益金不算入
ロ 会計上では「費用」ならないのに法人税上では「費用(損金)」として扱われるもの。「損金算入」として減算されます
例:圧縮記帳の損金算入額
こういった調整を加え、最終的な「課税所得」が求められますので、「利益」の額とは一致しません。
2 法人税法特有の「税額控除」を適用している。
「課税所得」×税率=法人税になるのは上記で述べたとおりですが、実は租税特別措置法等によりさまざまな「税額控除」制度があります。
税率を掛けて算定された法人税に対し、直接税金から減額する制度です。この「税額控除」は決算書で表せないため、利益に比べ大幅に法人税が少ない場合があります。
例:試験研究の税額控除、外国税額控除
3 法人税法上の繰越欠損金控除
法人税法上、青色申告を提出している法人は過去のマイナスの所得(欠損金)を9年間繰り越して黒字の所得から減額できます。ただし、資本金1億円以上等の一定の法人に該当する場合、黒字所得の80%を控除の上限としています。メガバンクなど大手金融機関がほとんど税金を納めていないのは過去の不良債権の処理により発生した膨大な欠損金を黒字と相殺しているからです。