公益法人等の行う公益事業に付随して行われる業務の課税関係

当法人は、法人税法第2条第6号に掲げる「公益法人等」に該当します。
当法人では、その活動内容等を広報するため、書籍及びパンフレット等を自己の事務所において印刷及び製本し、これを希望者に無償で配布しています。

当該書籍等の印刷等に際し、輪転機(印刷機)においてアルミニウム製の印刷板(以下「アルミ板」といいます。)を使用しております。これまで、使用済みのアルミ板は廃棄をしておりましたが、今後、使用済みのアルミ板を専門業者に有償で引き取ってもらう予定です。

そこで、当法人が行う使用済みのアルミ板の譲渡の対価として受領する金員は、法人税法上の収益事業に係る収益に該当しないと解して差し支えないでしょうか。

(1) 法人税法上の取扱い

法人税法第2条第6号に掲げる公益法人等は、収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生ずる(法法41)とともに、収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります(法法7)。法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい(法法2十三)、法人税法施行令第5条第1項において34事業が限定列挙されています。

また、法人税法上の収益事業には、その性質上その事業に付随して行われる行為が含まれる旨規定されていることからすれば(法令51)、公益法人等の行う事業が収益事業に該当しない場合には、その性質上その事業に付随して行われる行為から生じた行為についても収益事業に該当しないと解されるところです。

なお、その事業と併せて行われる行為であっても、それが独立した事業と認められるような場合には、その行為は単独で収益事業課税の対象となると解されます。

(2) 本件のあてはめ

ご質問の会社が行う書籍等の印刷等や無償による配布は、法人税法上の収益事業に該当しないことをご質問の前提としています。

ご質問の会社は、書籍等の印刷に必須の材料としてアルミ板を取得し、印字のために使用しているものであり、当法人の行う使用済みアルミ板の廃棄、売却などの処分行為は、書籍等の印刷等の一環として必然的に生じるものであり、その性質上書籍等の印刷等に付随して行われる行為に当たると考えられます。

また、アルミ板は、印刷等の際に使用するために取得したものであり、販売する目的で取得したものではありませんので、この売却による処分行為が独立した事業とは認められず、法人税法施行令第5条第1項第1号に規定する物品販売業にも該当しないと考えられます。

したがって、ご質問にある使用済みのアルミ板の譲渡の対価として受領する金員は、法人税法上の収益事業に係る収益に該当しないと考えられます。

国税庁 文書回答事例 参照

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元国税調査官の税理士:渡邊 崇甫
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このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

元国税の税理士だから
税務調査対策が万全

専門性の高い国税職員経験を
活かした万全な対策。