始めやすさや事業運営の手軽さで言えば、個人事業の方が会社よりも有利だと言えます。
株式会社や合同会社などを設立するには、費用と時間もかかります。
個人事業は税務署に開業届けを提出するだけでスタートできます。
また決算や確定申告なども会社の方が面倒で複雑です。
会社法施行前(2006年5月以前)は、株式会社の設立には、資本金1,000万円以上、最低役員4名(取締役3名、監査役1名)以上必要など設立要件のハードルがかなり高かったですが、現在は、資本金1円、役員1名(取締役1名)で設立できるようになりました。
個人事業主から会社組織にするメリットして
- 税金が有利(注)
- 対外的な必要性(信用問題など)
- 個人事業だと取引先に限界がある
- 事業拡大に対応しやすい
- 社会保険(厚生年金や健康保険)に加入できる
などが挙げられています。
(注)「税金が有利」については、具体的に以下の事項が考えられます。
(1) 家族の給料
法人は家族に給料を支払うことが届出をしなくても出来ます。例えば配偶者などの扶養家族に給料を支払う場合は、個人事業主では事業専従者としてあらかじめ税務署に届出をしておく必要があります。
(2) 経営者の所得が事業所得から給与所得に変わる
経営者の所得が事業所得から給与所得に変わることにより給与所得控除が受けることができます。
(3) 節税対策がしやすい
例えば、生命保険に会社として加入すれば保険料の半額を会社の経費に計上できます。個人事業主では生命保険控除というものはありますが、支払った保険料の全額を必要経費にすることはできません。
(4) 欠損金額の繰越
ある年度の業績が赤字の場合、その赤字を翌年に繰り越すことが出来ます。この場合、個人事業主は3年ですが法人は9年まで繰り越せます。
(5) 所得税、法人税の税率差
ある程度の所得があるのなら個人事業主よりも法人形態のほうが所得税(累進税率)や法人税(800万円前後で2段階)の税率の関係で有利になることがあります。