法人が負担すべき社会保険料の額で月末の到来しない月に係るものについては、前月等の納付実績を基礎として合理的に見積もったとしても、当該見積額を損金の額に算入することは認められません。
したがって、法人の事業年度の末日が月末でない法人については、当該末日を含む月の社会保険料の額については当該事業年度の損金の額に算入することはできないことになります。
(理由)
法人税法上、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用の額のうち、当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、当該事業年度終了の日までに債務の確定したものに限定されます(償却費を除く)(法人税法第22条第3項第2号)。
そして、法人が負担する社会保険料の額については、当該保険料の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度において損金の額に算入することができることとされていますが(法人税基本通達9-3-2)、これは、法人が負担する社会保険料は、被保険者が月末において在職している場合には、同者に係る保険料を翌月末日までに納付することとなり、被保険者が月の中途で退職した場合には、同者の退職月に係る保険料は納付する義務はない(健康保険法第156条第3項、厚生年金保険法第81条及び第19条第1項)ことによるものです。
したがって、法人の負担する各月の社会保険料の支払債務は当該月の末日における従業員の在職の事実をもって確定することになり、これを本件に当てはめると、2月分の社会保険料の支払債務が確定するのは2月の末日となりますから、法人が、前月(1月)の実績を基礎として計算した見積額を当月の20日分(2月1日~2月20日)に係る社会保険料の額として損金の額に算入することは認められません。
【関係法令通達】
法人税法第22条第3項第2号
法人税基本通達9-3-2
健康保険法第156条第3項
厚生年金保険法第81条、第19条第1項
国税庁HP https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/02/02.htm 参照