法人の経費計上について、雇用主が従業員に生命保険をかけることはできますか。

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節税目的で、社長が自分のために保険に加入することがあると思います。
退職金準備を検討していますが、従業員を加入させても節税効果はあるのでしょうか。
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はい、従業員を被保険者として保険に加入した場合も節税効果があります。
しかし、保険の前にまずは中退共、特退共への加入をおすすめします。
なぜなら、国の制度のため、安心、確実だからです。
退職金制度は、まずは中退共・特退共から
中小企業のための国の福祉的施策という背景があります。
そのため、掛金が全額損金になります。
制度の特性は、ほぼ同じですが、受け取れる金額の多さや助成金制度があることから中退共を優先されることをおすすめします。
どちらの退職金制度も、積み立てられる額は年間36万円までですので、それ以上の退職金を支給したい場合は保険を検討すると良いでしょう。
クライアントが加入した保険
クライアントが中退共、特退共のあとに従業員のために加入した保険は養老保険です。
全従業員を加入させると保険料が損金になります。
保険料の損金性は条件によって以下のように異なります。
死亡保険金の受け取り 満期保険金の受け取り 損金性 従業員の遺族 従業員 全額損金 従業員の遺族 会社 1/2損金 会社 会社 全額資産 返戻金を一度会社が受け取る場合は1/2損金となり、従業員へ直接支払う場合には、全額損金になります。
被保険者は役員、経営者にして部分解約がおすすめ
クライアントは、養老保険に従業員を加入させましたが、一般的にこの方法はあまりおすすめしません。
なぜなら、従業員の早期退職リスクがあるからです。
従業員が退職した場合、保険は継続できません。
そのため、想定外の早期退職は低い解約返戻率で解約をしなければならなくなり、損失が出ます。
クライアントの場合は、従業員が少人数であり、社長と従業員の間に信頼関係がありました。
そのため、従業員が辞めるリスクは低いと考え、養老保険に加入しました。
従業員が辞めるリスクは、会社では回避しにくいため、最近では役員や経営者自身が長期平準定期保険や逓増定期保険に加入し、従業員の退職金を準備するケースが多くなっています。
役員や社長が退職するリスクは従業員よりも低いからです。
この方法を取れば、従業員の退職時期に合わせて保険を部分解約し、退職金を支給できますので、上記の問題は回避することができます。
加入事例は以下からご覧いただけます。
なお、逓増定期保険は社長への利益移転としてクライアント事例をご紹介しています。
しかし、この保険は短期間で退職金を準備したい場合にも使えますのでご相談ください。