逓増定期保険3回めの名義を変更した事例

より盤石な体制作りとして、保険の役目を終えた2017年3月に加入した3回めの逓増定期保険を個人に名義変更した事例をご紹介します。

保険契約を個人に名義変更をすることで、返戻率のピークを迎えた保険を会社に残すのと同等もしくはそれ以上の利益を個人に残すことができるようになります。

2015年~2017年にかけて加入した合計4つの「逓増定期保険」(総額2億1320万円)のうち、3つめにあたります。

加入時期 2017年3月
年間保険料 6,212,100円
名義変更時期 2019年3月
解約時期 2021年9月
名義変更後に残せた割合 52.3%
2019年2月の国税庁通達により、現在この保険は販売されておりませんが、「出口戦略がなくても臨機応変に対応できた体験記録」としてお読みください。

名義変更後の保険証券はこちらになります。

この保険の返戻率の推移

この保険の返戻率の推移は以下のとおりです。

年間保険料は、約620万円です。

逓増定期保険の返戻率一覧。5~7年目で解約すれば100%近い金額が戻る

名義変更のながれ

名義変更は、以下の手順で行います。

  1. 2年目まで会社が保険料を支払う
  2. 2年目、社長個人が額面の23.3%で保険を買い取り、名義変更する
  3. 個人に移転後、自動振替貸付制度を使い3年間の保険料を支払う
  4. 5年目、返戻率が94%まで上がる
  5. 解約する
  6. 解約返戻金から借入金が差し引かれた金額を受け取る
ピーク前年に会社から個人に名義変更し、ピークで解約する

会社と個人が支払う具体的な金額

2年目で買い取る
  1. 2年目まで会社が保険料を支払う
    累計1242万円(年間保険料6,212,100円×2年)
  2. 3年目の保険料を支払う直前(2019年3月)に社長が買い取る
    289.5万円(12,424,200円×23.3%)
  3. 残り3年(2019年~2021年)の保険料は貸付制度を利用
    1863万円(年間保険料6,212,100万円×3年)

残り3年の保険料1800万円は、自動振替貸付(APL)という制度を活用することにしました。

これは、解約返戻金を担保に保険料を借りることができる制度です。
解約時に、返戻金から「借入金+利息」が引かれます。

2021年9月に解約

名義変更のながれ」の「返戻率が94%まで上がって解約」とあるように、94%になるには2022年3月まで保険料を払う必要があります。

しかし、90%以上の返戻率になった5年目突入の2021年3月に解約したいと考えました。

既に「万が一の備え」という目的を果たし会社は安定した売り上げがある状態にあり、数%のために1年分保険料を払い、1年待つは非効率と考えたからです。

ただ、保険料を借りている兼ね合いからすぐには解約できず、2021年9月の解約となりました。

税理士が解説する「解約後に残るお金」

渡邊 崇甫 国税局OB税理士
渡邊 崇甫

税理士の渡邊です。

解約返戻金に対する税金と、残る金額を説明します。

2021年9月、解約返戻金として2589万円を受け取りました。

受け取り金額が2920万円を下回ったのは、年の途中である5年6ヶ月だったためです。

APL制度を利用したので、解約時に「借入金+利息」が引かれます。

その結果、最終的に残る金額は以下のとおりです。

返戻金と給与所得を合算した課税所得に、所得税の税率をかけて所得税額が算出されます。

よって、課税所得の額によって所得税率が変わります(今回は所得税率45%、住民税は一律10%)。

  1. 返戻金から「借入金+利息」が差し引かれて残る金額
    913万円
    解約返戻金2589万円-(借入金額1604万円+利息70万円)
  2. 解約返戻金から税金を引いた金額
    736万円
    解約返戻金913万円-所得税・住民税177万円
    ※所得税は45%、住民税は10%にて計算
税金の詳しい計算方法はこちら
  1. 一時所得の金額={総収入-その収入を得るために支出した金額-特別控除額(最大50万円)}÷2
    [2589万円-(1604万円+289万円)-控除50万円]÷2=323万円
  2. 所得税
    323万円×45%=145万円
  3. 住民税
    323万円×10%=32万円

投資したお金に対してどのくらいのお金を残せたのか

渡邊先生、ありがとうございました。

今回の名義変更により会社に203万+個人に447万円=650万が残せました。

法人の支出1242万を保険・名義変更を使わず役員賞与で、今回と同様の金額を残そうとした場合と比較してみます。

今回の名義変更をした結果

保険・名義変更を使わず今回と同様の金額を残そうとした場合

このように、保険を利用しない方が多く残せるのですが、この保険の目的は、2021~2023年の間に売上がゼロになるような万が一の事態への備えでしたので、この保険に加入してよかったと結論づけています。

一方で、反省点もありました。

契約時に借り入れずに済むような保険料を設定していれば、もっと多くのお金を残せたと反省しました。

払済終身保険へ切り替えることで、返戻金が増える

個人に移転した返戻金をすぐに使う用事がなければ、「払済終身保険」へ切り替え、据え置きしておくことができます。

この切替により、以下のようなメリットが生まれます。

  • 今後、保険料は支払わなくて済む
  • 利息がついていく
  • いつでも解約できる

これで、出口戦略が不要で、いつまでも繰り延べることができる体制を整えることができました。

「払済終身保険」にした場合、解約返戻金から借入分を清算して契約が継続されることとなります。

仮に5年12ヶ月後に払済終身保険に切り替え、代表が退職する65歳(2034年)まで継続し続けた場合、返戻金は943万円から約1005万円まで増えることになります。

個人の資産強化は、会社の基盤とのバランスが重要

当社では個人へ契約を移転する方法を選びましたが、他にも利益を残す手段があります。

それは、法人名義のままで契約を「失効」させるという方法です。

「失効」とは、保険料の支払いを止めることで、契約が失効扱いとなるものです。

つまり、ピーク時期を迎えた時に保険料の支払いを停止すれば、必要な時期までピークの返戻率のまま据え置くことができます。

個人に移転するか、法人に残すかという選択は、それぞれの資産状況のバランスだと考えています。

どちらか一方に偏っていては、絶対に潰れない会社と言えるだけの体力を作ることはできませんでした。

当社は、十分な会社の基盤ができたと判断した結果、個人の資産強化という方法をとりました。

御社は今どのような状況で、今後どうしていくべきか。絶対に潰れない会社づくりのために、当社が実施してきた経験をお話できますので、ぜひお問い合わせください。

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