法人設立をしたばかりの小さな会社経営者です。節税を検討していますが利益の投資先について相談です。

小さな店舗を経営しており、今年11月に法人化しました。

今まで極力経費はかけずに節約していたのですが、税理士さんに「社用車でも買った方がいいかも」と言われました。

車は不要なのですが、たとえば従業員の制服を新調したり、給料をアップしたりと、お金をかけたいところはたくさんあります。

他にすべき節税があればアドバイスをいただけたらと思います。

従業員の給料UPや制服の新調も従業員への投資という観点から非常に重要な要素だと考えます。

しかし、法人1年目とのことですので、安定経営と更なる発展のためにまずは会社の基盤強化となる節税をお勧めします。

以下、当社が真っ先に加入を検討すべきと考える節税商品を2つご紹介します。

  1. 倒産防止共済
  2. 小規模企業共済

倒産防止共済

利益の繰り延べに使える節税です。

通常、この制度は法人設立1期目の会社は加入することができませんが、個人事業主から法人成りをしている場合には、加入が可能となります。

この制度の特徴は以下のとおりです。

▼掛金:5000円から20万円/月の間で自由に設定

▼積立上限:800万円

▼損金性:全額損金

なお、制度に満期はありません。

3年8ヶ月目以降であれば、いつでも好きなタイミングで投資金額の100%を受け取ることができます。

また、掛金の払込が難しくなった場合には、減額も可能です。

決算直前でも数ヶ月分、1年分の積立掛金を一括前払いする「前納」制度を利用することで、最大260万円までを損金計上できるようになります。

詳しくは以下のページをご覧ください。

小規模企業共済

こちらの制度は法人ではなく個人を対象とした社長の退職金制度となります。

当社では、事業をしていく上で社長と会社の財布は同じと考えていますので、倒産防止共済とセットで必ず加入すべきものと考えています。

この制度の運営も国が行っており、掛金の全額が所得控除となります。

制度の特徴は以下のとおりです。

▼掛金:1000円から7万円/月の間で自由に設定

▼損金性:全額が所得控除

こちらの制度にも、満期はありません。

当社代表の加入ケースでは、39歳で加入しました。

退職予定の65歳では、積立総額の114%の2500万円を受け取る予定です。(掛金は7万円/月、加入年数は26年)

なお、解約事由によって100%以上を回収するために必要な加入年数が異なります。

退職予定が65歳以上と考えている方は、最低でも100%を回収するには15年間の加入年数が必要になるなど、いくつかの基準があります。

加入前にはシミュレーションをすることがおすすめです。

倒産防止共済と同じく「前納」制度および掛金の減額等が使えますので、所得税対策としてまだ加入していない場合は、ぜひご検討ください。

これらが済んだあと従業員の投資を考える場合、従業員の退職金制度である「特退共・中退共」がおすすめです。

特退共・中退共

正式名称はそれぞれ「特定退職金共済」と「中小企業退職金共済」で、いずれも従業員のための退職金制度となります。

掛金は全額損金となりますので、会社の経費になります。

また、従業員にとっても非課税という特徴もあります。

掛金金額は、それぞれ以下のとおりです。

▼特退共・・・1000円から3万円/月

▼中退共・・・5000円から3万円/月

以下、それぞれ掛金3万円で38年間(22歳で加入、定年60歳まで)かけた場合に受け取れる金額です。

共済制度特退共中退共
受取金額1491万円1669万円

当社のケースでは、これらの加入がすぐに目に見える効果や結果につながったかは分かりません。

しかし、退職金をはじめとした従業員の人生を考えて行った投資の積み重ねが、現在の会社と従業員との強い結びつきに繋がっており、仕事への姿勢となって現れ、現在の実績になっていると実感しています。

なお、中退共、特退共の制度の概要はいずれもほぼ同じものです。

受け取れる金額や元本を上回るのにかかる年数などに若干違いがあり、まずは条件の良い中退共への加入がおすすめです。

2つの制度の違いは、以下のQ&Aにて解説していますのでぜひご覧ください。

それぞれの当社の加入事例は以下にてご覧ください。

このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
近畿税理士会所属:登録番号128780
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書

このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
近畿税理士会所属:登録番号128780
一般的な企業税務はもちろんのこと、国際税務、組織再編、金融取引等、税務上の取扱いが困難・複雑とされる分野についても実務ノウハウを蓄積。
これまでの経歴
  • 国税局 調査第一部 国際調査課
  • 国税局 調査第一部 特別国税調査官
  • 国税不服審判所(本部)
著書