養老保険をドル建てで加入するメリット・リスクを教えてください。

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
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養老保険への加入を検討しています。円建てとドル建てがあると聞きました。ドル建てを選ぶメリットとリスクを教えてください。

ドル建て養老保険の最大の特徴は「通貨の分散」です。円建てにない為替リスクがある一方、円安局面では受取額が増える可能性があります。当社では円建てとドル建ての両方に加入し、リスク分散を図った経験があります。

ドル建て養老保険の基本的な仕組み

ドル建て養老保険は、保険料の支払いも満期返戻金の受取もすべて米ドルで行われます。円に換算する際に為替レートが適用されるため、支払う保険料・受け取る返戻金のどちらも為替の影響を受けます。

ドル建てのメリット

① 通貨リスクの分散

円建て資産だけに集中するリスクを避け、資産の一部を外貨で保有できます。円の価値が下がる局面では、ドル建て資産の相対的な価値が高まります。

② 円安局面での受取額増加

満期時に円安が進んでいれば、同じドル金額でも円換算の受取額が増えます。当社の1回目の養老保険(ドル建て)では、加入した2015年から現在にかけて円安が進行したため、円換算の保険料・受取額ともに加入時の想定より大きくなっています。

③ 返戻率が高い設計になっていることが多い

ドル建て保険は米国の金利水準をベースにした設計になっているため、低金利の日本円ベースの保険と比べて返戻率が高くなるケースがあります。当社の1回目の養老保険は23年で返戻率119.56%の設計になっています。

ドル建てのリスク

① 為替リスク

円高が進むと、同じドル金額でも円換算の受取額が減ります。加入時より円高になった局面で満期を迎えた場合、想定より少ない円額しか受け取れない可能性があります。

② 毎月の保険料が変動する

円建ては保険料が毎月一定ですが、ドル建ては為替により変動します。円安が進むと毎月の保険料負担が増えるため、資金繰りへの影響を事前に把握しておく必要があります。

当社の実例でも、加入当初(2015年)は1ドル124円だったものが、2025年には1ドル150円前後まで円安が進行し、年間保険料の円換算額が加入時より約20%増加しています。

当社が円建てとドル建ての両方に加入した理由

当社では2015年に、同じ従業員を対象に3ヶ月の間隔でドル建て・円建て両方の養老保険に加入しました。

理由はリスク分散です。どちらか一方に集中するのではなく、通貨を分けることで為替リスクを抑えながら退職金準備を進める設計にしました。

  • 1回目(ドル建て):払込期間23年・返戻率119.56%
  • 2回目(円建て):払込期間10年・返戻率98.4%

払込期間・通貨の両面で異なる特性の保険を組み合わせることで、一方のリスクを他方で補う構成にしています。

まとめ

ドル建て養老保険は通貨分散・高い返戻率設計という点でメリットがある一方、為替リスク・保険料の変動という点でリスクも伴います。

円建てと組み合わせることでリスクを分散しながら退職金準備を進めることが、実務上の現実的な選択肢のひとつです。どちらが適しているかは会社の資金繰り・退職時期・為替リスクへの許容度によって異なります。

当社の養老保険加入の体験談は以下のリンクからご覧いただけます。

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